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2020/02/06(木) 22:41:12.07ID:CAP_USER研究
2020.02.06
東京工業大学 理学院 物理学系の山口昌英教授と須山輝明准教授が第13回湯川記念財団・木村利栄理論物理学賞を受賞し、受賞式が1月22日、京都大学 基礎物理研究所 湯川記念館で行われました。
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湯川記念財団・木村利栄理論物理学賞を受賞した山口昌英教授(中央)と須山輝明准教授(右から2人目)(京都大学基礎物理学研究所提供)
湯川記念財団によると、木村利栄理論物理学賞は「重力・時空理論、あるいは場の理論、あるいはそれらと関連する分野の理論研究において顕著な業績を上げており、かつ、受賞以降も対象分野で中心的な役割を果たしていくことが期待される研究者」に対し毎年、贈られます。湯川記念財団は湯川秀樹博士のノーベル物理学賞受賞(1949年)を記念して、1956年設立された公益財団法人です。旧広島大学 理論物理学研究所 教授であった木村利栄氏の遺産が湯川記念財団に寄付され、これを木村基金として、2007年度、木村利栄理論物理学賞が設けられました。候補者の選考や木村基金の運用は京都大学 基礎物理学研究所に委託されています。
受賞した山口教授
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受賞した須山准教授
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受賞研究課題
「宇宙原始揺らぎの非ガウス性の研究」
受賞理由(湯川記念財団・木村利栄理論物理学賞Webページから)
宇宙論的観測の進展にともない、宇宙の大域的構造形成の標準的シナリオとして、インフレーション宇宙論が確立されようとしている。さらに、インフレーションモデルを特定し、宇宙初期の物理を解明する手段として、宇宙背景放射による初期揺らぎの観測の高精度化が進んできたが、今後は銀河サーベイや重力レンズ、21センチ線などの手段を用いて、3次元的な密度揺らぎが大きな体積にわたり高精度で得られる時代が訪れようとしている。
須山輝明氏と山口昌英氏はインフレーション中に生成される初期揺らぎの3点相関と4点相関の間にモデルの詳細に依存しない不等式が成立することを見いだした。特に単純な、インフレーションを起こす場のみに初期揺らぎが起因するモデルにおいては等号が成立する。そのため、この不等式に着目することで初期揺らぎの起源が単一の場によるものであるのか複数の場が寄与しているものであるのかが明白に区別できる。また、この不等式が成立しないということが判明した場合、インフレーション宇宙論を根底から覆すことになり、インフレーションモデルの試金石となる不等式であると言うこともできる。したがって、本不等式の検証は、現在進行している宇宙論的観測の主たる観測目標のひとつに掲げられている。彼らはその後、高橋智氏、横山修一郎氏らとの共同で、この不等式の適用範囲のさらなる拡張もおこなっている。
この「須山―山口不等式」と名付けられた関係式は、インフレーション宇宙論の観測的検証を語るうえで、欠くことのできない主要な関係式になっている。現在、初期揺らぎの3点相関や4点相関の非ガウス性は、宇宙背景放射の観測からは観測可能なほど大きくないということが明らかになってきている。しかし今後、3次元的な密度揺らぎの高精度観測が進むことが確実であり、より多くの揺らぎのモードが観測可能となる。それにより、飛躍的に高次相関の観測精度が高まることが期待される。そのような時代を迎え、この不等式の価値はさらに高まることは間違いないと考えられる。
両氏は共に受賞対象の研究以外にも、初期宇宙論の分野で多くの顕著な研究業績を挙げ、これまでも分野を牽引する研究を行ってきており、今後の活躍が十分に期待される。こうした理由から、木村利栄理論物理学賞の受賞にふさわしいと判断した。
===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://www.titech.ac.jp/news/2020/046124.html