11/22(金) 11:43配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191122-00000517-san-sctch

110歳以上の人は血液中に特殊な免疫細胞を多く持っていることを、理化学研究所と慶応大の共同研究チームが発見した。長寿と免疫の関係の解明につながると期待される。米科学誌電子版で発表した。

 チームは110歳以上の7人と50〜80歳の5人を対象に、血液中の計約6万個の免疫細胞を分析。110歳以上の人は、免疫システムの司令塔の役割を持つ「T細胞」のうち、ウイルスに感染した細胞やがん細胞などの異物を破壊する「キラーT細胞」の割合が高いことが分かった。

 特に、免疫の働きを助ける別のタイプのT細胞の特徴を持っている特殊なキラーT細胞の割合が、110歳以上の人は約25%を占め、50〜80歳の2〜3%より高かった。

 T細胞の表面には、特定の異物を認識して結合する受容体と呼ばれるタンパク質がある。今回の特殊なキラーT細胞の多くは、表面に同じ種類の受容体を持っていた。共通する異物が体内にあるためらしいが、理由は分かっていない。

 この細胞はマウスを使った実験で皮膚がんのメラノーマを破壊することが報告されているが、長寿との因果関係は分かっていない。

 老化すると免疫力が低下し、がんや感染症のリスクが高まる。110歳以上の人はこうした病気にかかっていないか、かかっても回復しており、免疫が良好に働いているとみられる。

 110歳以上の人は、2015年の国勢調査でわずか146人。理研の橋本浩介専任研究員は「免疫細胞の役割を理解し、長寿の仕組みの解明につなげたい」と話す。