人工知能(AI)を使って竜巻の進路を予測し、鉄道などの安全運行につなげるシステムの開発に、気象庁気象研究所とJR東日本などが乗り出す。発生した竜巻の形を大量にAIに学ばせることで、現行の気象レーダーに基づく予測より精度の向上が見込めるという。15日に始まる日本気象学会で発表する。

 2005年12月、山形県でJR羽越線の特急列車が脱線・転覆し38人が死傷した事故は、局所的な突風が原因だと認定された。事故を受け、同研究所とJR東は、雨粒の動きから風の強さや方向を観測できる「ドップラーレーダー」を使って竜巻などの進路を予測するシステムを開発。17年から冬季に同県内で列車の運行規制に活用している。

 ただ、夏の太平洋側では竜巻でないのに似た形でレーダーが探知するものなどさまざまなパターンがあり、冬の日本海側のレーダー解析の手法だけでは、竜巻を捉えることが難しかった。このため、全国のレーダーで捉えた竜巻の形をAIに学習させ、各地で新たに発生した竜巻の進路をすぐに予測できるようにする。気象庁が運用するドップラーレーダーは、北海道から沖縄まで全国29カ所にある。空港などにある複数のレーダーのデータを用いて、研究を進める。

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190512002297_comm.jpg

朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASM5B6QZ0M5BULBJ01C.html