0001しじみ ★
2019/04/05(金) 17:26:45.79ID:CAP_USER々の恒星の周りを回る惑星の探索は、産業規模に達している。天文学者たちは4000を超える太陽系外惑星を発見しているが、そのうち半分以上はケプラー宇宙望遠鏡からのデータを利用して発見された。ケプラーは、太陽系外惑星探索のために作られた地球周回軌道上の天文観測衛星だ。
2009年に打ち上げられたケプラーは、固定された視野を数ヶ月間観察し、惑星が前を通過することで生じる恒星の明るさのわずかな周期的変化を探す。
だが2012年にこのミッションはトラブルに陥った。ケプラーの4つのリアクションホイールのうち1つが故障したのだ。リアクションホイールは、探査機の姿勢を制御し、特定の方向を正確に向かせる役割を果たす。2013年には2つめのホイールが故障し、ミッションは危機に陥った。
https://www.technologyreview.jp/wp-content/uploads/sites/2/2019/04/kepler-ai-fig.png
エンジニアたちは解決策として、故障したケプラーを用いて、低精度でノイズの多いデータの収集を続ける方法を考案した。ミッションのこの部分はK2と名付けられた。天文学者たちはK2のデータからも新たな太陽系外惑星を発見し続けたが、発見率はそれまでよりもはるかに低くなった。
しかし、このことが興味深い可能性につながった。太陽系外惑星のしるしは依然として存在していることは確かだが、増えたノイズのせいで見落とされていた。もしノイズを体系的に取り除いて、結果として得られた信号を調べる方法を見つけられたら、見落とされた太陽系外惑星が見つかるかもしれない。
そこで登場したのが、テキサス大学オースティン校のアン・ダッティーロたちだ。ダッティーロらは、K2のデータを自動的に分析できる「アストロネットK2(AstroNet-K2)」という名の深層学習ニューラル・ネットワークを開発した。これによりK2データのマイニング処理が劇的に高速化し、さらにベテランの天文学者たちが見落としていた太陽系外惑星も発見されたという。
太陽系外惑星を発見するには、いくつかの段階を踏む必要がある。まず天文学者はそれぞれの恒星について、天体の光度の時間変化を表す「光度曲線」を求めなくてはならない。次に、それぞれの光度曲線が時間とともにどのように変化しているかを調べる。
ニューラル・ネットワークはまさにこのプロセスを実行して、それからデータセットから不適切なものを取り除く処理する。たとえば太陽系外惑星は、親星となる恒星に比べて非常に小さいため、変化量が3%以上の光度曲線は連星系に分類する。また太陽系外惑星の存在を示す光度変化は周期的であるはずなので、単発の変化も無視される。
このようにしてニューラル・ネットワークで、偽陽性の大部分を取り除くのだ。「アストロネットK2による太陽系外惑星と偽陽性の分類は上出来です。私たちのテストセットでは98%の精度です」とダッティーロらは述べている。
ダッティーロら研究チームはノイズの多いK2データをアストロネットK2で分析し、すぐに2つの太陽系外惑星を発見した。2016年12月から2017年3月の間、火星がケプラーの視野を通過した。火星は背景の星々に比べてとりわけ明るいため、散乱光やノイズがたくさん入り込んで太陽系外惑星のしるしが分からなくなる。
このことで人間の天文学者が途方に暮れた一方で、アストロネットK2はすぐさま新たな太陽系外惑星のしるしを発見した。1つめは、地球の数倍程度の大きさの惑星(「スーパーアース」と呼ぶ)である「パフィー」プラネットだ。揮発性の雲に覆われており、太陽に似た恒星の周りを13日周期で回っている。表面温度はおよそ750℃だ。
2つめは、太陽に似た恒星の周りを回っている、岩だらけのスーパーアースだ。公転周期はたった3日で、恒星からの距離はずっと近くなり、表面温度はおよそ1400℃。アルミニウムも溶ける温度である。
ダッティーロらの研究には、太陽系外惑星探索に関わる仕事の多くを自動化する可能性がある。主な強みの1つは、機械ベースの発見は人間なら持つかもしれない先入観による悪影響を受けないことだ。
つまり、アストロネットK2は様々な環境で形成された星々を調べて、銀河の様々な区域をまったく同じ方法で調査できる。得られた結果から、天文学者はこれらの区域において、太陽系外惑星の数がどう異なるかを研究できるはずだ。
https://www.technologyreview.jp/s/133880/deep-learning-has-found-two-exoplanets-that-human-astronomers-missed/
続く)