続き)>>1
まったく同じナッシュ均衡状態の道路でも、走行する自動車の一般車と自動運転カーの比率によって、スピードダウンへの耐性(堅牢性)に差は生まれます。たとえは、以下の2つのFDT2グラフは、一般車と自動運転カーがそれぞれ同じ台数混ざって走行する状態で、latencyも同じ状態なので、目的地までの到着時間は同じです。しかし、右のグラフはただでさえキャパの大きい405号線により多くの自動運転カーが集まることで、飽和点までの限界をより広げているため、latency(移動時間)を上げることなく多くの自動車を追加できることになり、スピードダウンまでの耐性が高いといえます。つまり、右の状況の方が堅牢性が高く、「渋滞に強い(渋滞しにくい)」といえます
https://i.gzn.jp/img/2019/01/21/altruistic-autonomy-on-road/a08_m.png

SAILの研究者は、あるナッシュ均衡状態(NE)を、latencyを最も下げる理想的なナッシュ均衡状態(BANE)と堅牢性が最も大きな状態(RBNE)という2つの条件に誘導することで、latencyを大幅に下げられることをシミュレーションで確認したそうです。
https://i.gzn.jp/img/2019/01/21/altruistic-autonomy-on-road/a10_m.png

以上の通り、一般車であれ自動運転カーであれ、また両者が混在する条件であれ、各道路に適切に自動車を分配することで、全体として到着時間が短くなるようなベストな条件を作り出すことは可能です。理想状態を作り出す妨げになっているのは人間が持つ利己主義的な考えですが、自動運転カーが普及して、道路を走る全ての車両が連携するようなシステムを作り上げることで、渋滞が少なく経済的な損失の少ない交通事情を作りだすことができるようになるかもしれません。

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20190121-altruistic-autonomy-on-road/