日本の超小型衛星ベンチャーの「アクセルスペース(Axelspace)」は2018年12月27日、超小型地球観測衛星「GRUS」の1号機が、ロシアのロケットで打ち上げに成功したと発表した。

GRUSは、地球のすべてを毎日観測する衛星コンステレーション「AxelGlobe(アクセルグローブ)」を構成する衛星で、今後2022年までに数十機のGRUSを打ち上げ、完成を目指す。

GRUSなどを載せたロシアの「ソユーズ2.1a」ロケットは、日本時間12月27日11時7分(モスクワ時間5時7分)、ロシア極東にあるボストチヌイ宇宙基地を離昇した。

地球周回軌道への投入後、まず主衛星のロシアの地球観測衛星2機を分離。続いてGRUSを含む、他国の企業などから打ち上げを請け負った計26機の小型・超小型衛星を次々と分離し、打ち上げは成功した。

アクセルスペースによると、GRUSの分離時刻は13時30分55秒で、高度約600kmの太陽同期軌道に投入。また22時40分27秒には、衛星の最初の日本上空通過時に信号の受信に成功し、搭載各機器の状況を確認する初期運用を実施中としている。

■"毎日全地球観測インフラ"AxelGlobe

GRUSは、アクセルスペースが開発、製造した地球観測衛星で、寸法は60cm×60cm×80cm、質量は約100kg。"超小型"に分類される衛星ながら、分解能2.5mの高性能な光学センサーを搭載している。

アクセルスペースでは今後、2020年にはGRUSを追加で2機、さらに2022年までに数十機を打ち上げ、「AxelGlobe」と名づけられた衛星コンステレーション(衛星群)を構築することを目指している。ちなみにGRUSとは「つる座」という意味で、コンステレーションには星座という意味もあり、またGRUSの衛星は鶴の群れのように地球を周回することにちなんで名づけられた。

同社が「毎日全地球観測インフラ」と呼ぶように、AxelGlobeはその数十機のGRUSの数をもって、地球上のほぼすべてを一日に一回撮影できるようにし、新たなインフラとして、さまざまな分野での利活用を目指している。

とくに、撮影データのコストや品質の面では、従来の他の地球観測衛星にはない特徴をもつ。たとえば従来の商用地球観測衛星は、分解能が1m〜数十cmと高いものの、その分撮影データの価格も高かったり、あるいは価格は安いものの、分解能が3〜5mと低い上に、各衛星の軌道がばらばらでデータの品質も悪かったりと、さまざまな欠点を抱えており、それが衛星のデータ利用が大きく広がらない要因のひとつでもあった。

その点、GRUSの分解能2.5mという性能はちょうどこの間に位置し、性能とコストのバランスがよく、また数十機の衛星すべてがほぼ同じ軌道に入るため、ほぼ同じ条件下で地表を撮影することができ、さらに1機あたりの設計寿命も5年以上と比較的長いことから、高品質のデータを取得できる。

さらに従来は、なにか衛星から見たいことが起こってから観測することが多かったが、AxelGlobeは地球すべてのデータが毎日蓄積されていくため、過去から現在まで、世界のあらゆる場所の日々の変化を追うことができる。さらにそのデータを解析することによって、未来予測につなげていくことも目指している。

これにより、農業、森林、都市計画、経済動向把握、環境監視など、幅広い分野でのデータの利活用が見込まれてる。

なお12月7日には、31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI合同会社(三井不動産およびグローバル・ブレインにより運営)をリード・インベスターとし、その他ベンチャーキャピタル、事業会社を引受先に、シリーズB投資ラウンドにおいて約25.8億円の第三者割当増資を実施するなど、資金面でもAxelGlobeの完成に向け着実に進展を続けている。

続きはソースで

https://news.mynavi.jp/article/20181228-748352/images/001.jpg
https://news.mynavi.jp/article/20181228-748352/images/002.jpg

https://news.mynavi.jp/article/20181228-748352/