スマートフォンなどの普及にともなって、10代の若者を中心に斜視と診断される患者が増えていることなどから、日本弱視斜視学会は、斜視とスマートフォンなどの使用状況の因果関係を調べる実態調査を行うことになりました。

静岡県の浜松医科大学では、原因が不明で短期間に瞳が内側に寄って戻らなくなる「急性内斜視」の患者が増え、それまで年間2、3人だった患者が、3年前から10代を中心に10人前後に増えるようになりました。

また、東京の国立成育医療研究センターの研究グループでも、スマートフォンやタブレットを長時間使う子どもの急性内斜視などについて研究を進めていて、症例を分析した結果、「スマートフォンなどの過剰使用により、斜視の発症や悪化をまねく可能性がある」という論文をことし発表しています。

こうしたことを受け日本弱視斜視学会は、日本小児眼科学会と連携して今月末から全国の医師およそ1000人を対象に、急性内斜視と診断された子どもが、長時間スマートフォンやタブレット端末を使用していたのかなど、実態調査を進めることになりました。

調査では患者の治療経過も継続して報告してもらい、使用頻度を減らすことで斜視の改善につながったのかなど、因果関係や効果的な治療法を研究するとともに、スマートフォンなどの適切な使い方についても示していきたいということです。

日本弱視斜視学会の理事長で浜松医科大学の佐藤美保教授は、「10代のスマートフォンの普及率が8割を超えた時期と斜視の子どもが増えた時期は非常に近い。ただ斜視は近視やストレスが原因となることもあるため慎重に調査と研究をすすめて関連があるか確かめたい」と話しています。

また、国立成育医療研究センターの医師で今回の調査に協力する仁科幸子さんは「特に視覚ができあがる6歳までの子どもにスマートフォンなどを長時間使用する影響が懸念されている。大規模調査によって長時間の使用にリスクがあるかどうか傾向を明らかにし、よりよい使い方を示していきたい」と話しています。

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NHKニュース
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