0001しじみ ★
2018/12/02(日) 23:07:40.32ID:CAP_USER中国の長江デルタでは、約7500年前から世界最古の水稲栽培を基盤とした新石器文明が栄えたが、約4200年前に突然消滅し、その後300年間にわたり文明が途絶えた。多くの考古学者や地質学者が研究を行ってきたが、原因について統一的な見解は得られていなかった。
東京大学と日中の研究機関の共同研究グループは、長江デルタの近傍から2本の海洋堆積物コアを採取し、アルケノン古水温分析を行うことで完新世の表層海水温変動を高時間解像度で明らかにした。コア採取地は沿岸の浅海である。沿岸気温は表層海水温と強い相関がある。そのため、表層水温変動の記録から長江デルタの気温変動を定量的に推定することができる。分析の結果、長江文明が途絶えた時期に一致する約4400〜3800年前には、大規模かつ複数回の急激な寒冷化(3〜4℃の温度低下)が発生していたことが示された。この寒冷化イベントは、この時期に発生した全球規模の気候変動と関連するものと考えられる。このイベントが、稲作にダメージを与え、長江デルタの文明を崩壊させる一因となった可能性が高い。
本研究により、水稲栽培を基盤とした巨大文明が気候変動によって滅んだことが示唆された。今後の地球環境変動予測とその対応策が、人類にとって重要な課題であることが今一度示された。
本研究成果は12月1日付の「Quaternary Science Reviews」に掲載された。
詳細については、東京大学大気海洋研究所 のホームページをご覧ください。
http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/news/index.html
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―
図. 本研究で明らかになったコア採取地の温度変動と、長江デルタの文明変遷。
https://apps.adm.s.u-tokyo.ac.jp/WEB_info/p/pub/4050/image005.jpg
東京大学 大学院理学系研究科・理学部
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/6151/