汚れた空気が気管支などへ悪影響を与えることは知られていましたが、「知能を低下させる」可能性があることもわかりました。

The Impact of Exposure to Air Pollution on Cognitive Performance
(PDFファイル)http://www.pnas.org/content/pnas/suppl/2018/08/22/1809474115.DCSupplemental/pnas.1809474115.sapp.pdf

Air pollution linked to “huge” reduction in intelligence | UN Environment
https://www.unenvironment.org/news-and-stories/story/air-pollution-linked-huge-reduction-intelligence

北京大学とイエール大学の共同研究グループが、中国の162の地域に住む2万5000人以上の被験者を対象に、大気汚染が知能に与え得る影響を調査しました。研究では定期的に被験者に口述での言語能力や数学の試験から知能を測定した上で、被験者が住む地域の二酸化硫黄や二酸化窒素に加えて、10マイクロメートル未満の粒子状物質「PM10」の量を計測したデータと照らし合わせることで、大気汚染と知能低下の関係性を分析したとのこと。


その結果、汚れた空気への累積的にさらされることで認知能力が低下することがわかりました。男性と女性を比較したところ、男性の方がより大気汚染での知能低下のリスクが大きいことや、年少者ほど悪影響を受けるリスクが高いこともわかったそうです。研究に参加したシー・チェン教授は、「汚れた空気は教育レベルを1年分遅くする可能性がある」と述べています。

また、男女の格差は教育水準にもリンクしていることも判明しています。教育を受けていない人では男女格差が特に大きいことがわかっており、教育を受けない男性は野外での肉体労働に従事することで、大気汚染への慢性的な被ばくが認知能力を失わせると考えられています。


大気汚染が知能を低下させる詳しいメカニズムについては解明されていませんが、呼吸器から体内に取り込まれた大気汚染物質が血液を通じて脳に運ばれて脳機能を低下させる可能性が指摘されています。また、男性の方が女性よりも影響を受けることから、脳の白質が損傷するのではないかと疑う研究者もいます。

大気汚染によって老齢者の認知機能がダメージをうけることは、認知能力が日常生活を送ることや重要な決定を行うのに重要であることを考えると、大気汚染によって認知能力が失われることは、健康や経済面での大きなコストを強いており、社会福祉への間接的な影響はこれまで考えられている以上に大きい可能性があると研究者は指摘しています。

https://i.gzn.jp/img/2018/12/02/air-pollution-link-reduction-in-intelligence/a01_m.jpg

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20181202-air-pollution-link-reduction-in-intelligence/