(CNN) イタリアの巨匠レオナルド・ダビンチが天才的な作品を描くことができた背景には、「間欠性外斜視」と呼ばれる目の状態があった――。そんな研究結果が18日に発表された。物体の距離や奥行きを平面上に正確に描くうえで助けになったという。

医学誌「JAMA眼科学」に発表された論文によれば、外斜視はどちらか一方の目が外側を向いている状態を指す。

論文の著者で英ロンドン大シティ校のクリストファー・タイラー教授は「ダビンチの作品を見ていたところ、いずれの絵でも両目のずれが目立っていることに気付いた」と説明する。

ダビンチの6つの作品を対象に視線の向きを分析した結果、一部の作品で斜視の兆候がみられることが分かった。

6つの作品すべてが自画像というわけではないが、ダビンチの手記の中には、あらゆる肖像画には画家の外見が反映されているとの説明がある。

タイラー氏が作品内の瞳孔や虹彩、まぶたの位置を測定して角度に変換したところ、ダビンチが外斜視の傾向を持っており、リラックス時には片方の目が10.3度外側を向いていたことが判明した。ただ、集中時には元の目の向きに戻すこともできたという。

ダビンチは外斜視により、通常とは異なる角度から世界を見ることができた。「彼が目にしていたのは我々のような3次元のスクリーンではなく、平らな画布に近かったのではないか」「このため対象を画布に表現するのが容易になった」とタイラー氏は説明する。

一方、もう片方の目は通常の視野を持っていたことから、3次元の物体についての理解を深めることにもつながった。これによりダビンチの代名詞でもある正確な明暗表現が可能になったという。

https://www.cnn.co.jp/storage/2018/10/19/323cf46e08554828b75168928272c35b/t/768/432/d/01-rare-eye-condition-helped-da-vinci-paint-intl-super-169.jpg

CNN
https://www.cnn.co.jp/fringe/35127267.html