京都市伏見区の醍醐寺(だいごじ)で、水晶に入った木造の阿弥陀仏(あみだぶつ)がみつかった。鎌倉時代初め(12世紀末ごろ)の作品とみられる。専門家によれば、水晶に入った仏像は珍しく、著名な仏師、快慶(かいけい)の工房でつくられた可能性もあるという。12月10日まで醍醐寺霊宝館で公開されている。

 阿弥陀仏には金箔(きんぱく)が施され、高さが約5・5センチ。ハスのつぼみの形をした高さ約10センチの水晶の中に、下からはめ込まれて固定された。仏像は水晶で光が屈折して小さく見えるのを計算し、ややずんぐりした姿につくられた。頭部は群青色で彩色され、水晶は花びらの彫刻が施された木の台座の上に置かれている。

 2002年、寺の境内で木箱に入った状態でみつかった。調査した副島弘道(そえじまひろみち)・大正大学名誉教授(日本彫刻史)は、仏像の衣の表現などが快慶作の阿弥陀仏と似ていると指摘。「制作当初から水晶の中に納められてきたとみられ、保存状態は極めてよい。秘仏として特別視されてきたのでは」とみる。

 根立研介・京都大学教授(日本彫刻史)は「水晶入りの仏像は見たことがない。個人が手元に置いて、礼拝の対象にしたのではないか。鎌倉時代初期の作と考えられ、快慶風のところもある。ただ、やや丁寧さがなく、さらに検討が必要だ」と話す。

 拝観料は大人1500円、中・高生千円、問い合わせは醍醐寺へ。

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朝日新聞デジタル
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