理化学研究所などの研究チームは9日、トラザメなどサメの仲間3種の全遺伝情報(ゲノム)を解読し、英科学誌ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション電子版に発表した。

 サメやエイなどの軟骨魚類は、硬い骨がある魚類(硬骨魚類)や哺乳類の共通祖先から約4億5000万年前に分かれており、成果は哺乳類を含む脊椎動物の進化過程や、サメの生態解明に役立つと期待される。

 理研生命機能科学研究センターの工楽樹洋さんらは、日本近海に生息するトラザメのほか、アジア・オセアニア地域に生息するイヌザメ、体長10メートルを超えるジンベエザメのゲノムを解読した。DNAのサイズはジンベエザメが約38億、イヌザメが約47億、トラザメが約67億塩基対で、いずれもヒト(約32億塩基対)より大きかった。

 解読の結果、サメ類は進化にかかった時間の割に、塩基配列の変化が小さく、脊椎動物に共通する祖先の特徴を比較的多く残していることが判明。人類を含む哺乳類も持つホルモンなど内分泌系の仕組みが、軟骨魚類と哺乳類などの共通祖先の時期から確立していたことも分かった。

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