国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ無人補給機「こうのとり」7号機が11日午前、鹿児島県・種子島宇宙センターからH2Bロケットで打ち上げられる。今回は小型回収カプセルを初めて搭載し、大気圏に再突入させて実験試料などの回収を試みる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の開発責任者は「将来の有人宇宙船につながる技術。どうしても成功させたい」と意気込む。
 こうのとりには、ISSの電力供給を担う日本製の大型リチウムイオン電池や日本実験棟「きぼう」から放出される超小型衛星などを搭載。輸送量は過去最大の6.2トンで、14日にISSに接近し、ドッキングする。
 約1カ月半後にISSから分離し、大気圏再突入前にカプセルを切り離す。こうのとりは燃え尽きるが、カプセルはパラシュートを開いて南鳥島付近の太平洋に着水し、JAXAが回収する。


 カプセルは直径84センチ、高さ約66センチで重さ約180キロ。パラシュートや浮袋のほか、試料を収める容器(容積30リットル)が入っている。熱や衝撃に強い真空断熱容器で、タイガー魔法瓶(大阪府門真市)が開発。きぼうで実験を行ったたんぱく質などを持ち帰る。
 JAXAは小惑星探査機「はやぶさ」で微粒子の回収に成功しているが、今回は姿勢制御が可能な点で異なる。大気圏再突入後、カプセルを傾けて揚力を発生させ、飛行中の衝撃を大幅に低減させるという。
 JAXAの田辺宏太カプセル開発チーム長は「はやぶさのカプセルと違い、ふんわり優しく落ちてくる」と説明。衝撃は有人宇宙船の帰還カプセルと同程度という。(2018/09/08-14:53)

■国際宇宙ステーションから実験試料などを持ち帰る小型回収カプセルの大気圏再突入時の想像図
https://www.jiji.com/news/kiji_photos/0180908at57_t.jpg
■「こうのとり」7号機に搭載される小型回収カプセル
https://www.jiji.com/news/kiji_photos/0180908at58_t.jpg

時事ドットコム
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