文部科学省科学技術・学術政策研究所は22日、国内外の科学技術動向をまとめた報告書を公表した。
基礎研究を担う大学に行き渡る研究費が2016年にドイツに初めて抜かれて世界4番目に落ちた。
研究者に育つ修士号や博士号取得者数も人口あたりの数値が主要国で唯一減少していた。日本の科学技術力低下に歯止めがかからなそうだ。

 公表したのは「科学技術指標2018」。学術論文の動向などを欧米や中国など主要国と比較し、日本の国際的な立ち位置が確認できる。
学術論文数は14〜16年平均で世界4番目、質の高い学術論文数は同9位と昨年の調査と順位は変わらなかった。

 イノベーション創出の源泉ともいえる大学部門の研究費は、日本は16年で2.08兆円だった。独は2.17兆円と比較できる1981年以降で初めて日本を上回った。
トップは米で6.77兆円、中国が3.09兆円で続いた。中国は11年に日本を抜いている。

 研究者の供給源となる修士号や博士号取得者数も人口100万人あたりでみると主要国で減少しているのは日本だけ。
博士号取得者数は08年には131人だったのが14年は118人と減少。独は同312人が同348人に増えている。
予算面でも人員面でも日本の科学技術力の将来見通しは厳しそうだ。

日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34448140S8A820C1TJM000/