人が火星に移住しようと考えたとき、最初に必要なものは呼吸を行うための酸素であると言われています。
オーストラリア国立大学の名誉教授であるエルマーズ・クラウス氏らの研究チームは、
植物の生育に適さない日照条件の環境であっても、
光合成によって酸素を生み出すことができるバクテリアを発見したとのことです。

Photochemistry beyond the red limit in chlorophyll f–containing photosystems | Science
http://science.sciencemag.org/content/360/6394/1210

Weird low-light bacteria could potentially thrive on Mars | Fox News
http://www.foxnews.com/science/2018/06/18/weird-low-light-bacteria-could-potentially-thrive-on-mars.html

Breathing on Mars could now be possible, thanks to this bacteria | World Economic Forum
https://www.weforum.org/agenda/2018/06/want-to-breathe-on-mars-sea-dwelling-bacteria-could-make-that-possible

研究チームが発見したバクテリアは、
光合成によって酸素を生成することができるシアノバクテリア(藍色細菌)の一種です。
このシアノバクテリアは、日照時間が少なく植物の生育に適さない環境であっても、
酸素を生成することができるという特徴を持っています。
実際に研究チームは、ほとんど光が当たらない海溝の底であっても、
シアノバクテリアが繁殖していることを確認したとのことです。

実際に光合成を行うには、光合成色素のクロロフィルが必要となり、
通常の植物はクロロフィルaを用いて可視光線をエネルギーに変換しています。
しかし、シアノバクテリアの場合、目でとらえることのできない遠赤外線や近赤外線の光を当てたとしても、
特殊な光合成色素であるクロロフィルfを使用してエネルギーを変換できることが研究によって明らかとなりました。

オーストラリア国立大学のジェニファー・モートン氏は
「この研究は光合成に必要な最小エネルギーを再定義するものです。
このような光合成が可能ということは、岩の下で光合成を行っている種もいるということです」と述べています。

クラウス氏は、SF世界の話のように聞こえるかも知れないと前置きしつつ
「理論上の話ではありますが、シアノバクテリアのような生物を火星に持っていけば、
人間が火星で呼吸するために必要な空気を作り出すことが可能であると考えています」と語り、
将来の火星移住を考えると、これらの生物が大いに役立つかも知れないと説明しています。

https://i.gzn.jp/img/2018/06/20/mars-sea-dwelling-bacteria/00_m.jpg

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180620-mars-sea-dwelling-bacteria/