免疫細胞の一種であるT細胞を患者の体から採取し、
遺伝子改変後に大量に増やした上で体内に戻す新たながん治療法の試験で、
乳がん患者の腫瘍が完全に取り除かれたとの試験結果が、科学誌ネイチャーメディシンに4日掲載された。
この治療法は米ギリアド・サイエンシズにライセンス供与されている。

  米国立がん研究所(NCI)の研究者らが、寛解から十年後に再発した49歳の女性にこの治療を実施。
女性は肝臓にテニスボールの大きさの腫瘍があり、胸壁の全体に膨らんでいた。
7種の化学療法やホルモン療法にもかかわらず、腫瘍の拡大に歯止めがかかっていなかった。

  新しいT細胞を体内に戻してから2年半後、女性のがんは完全に消えた。
NCIの外科部門長スティーブン・ローゼンバーグ氏によると、
この女性の他にも結腸がんや子宮頸(けい)がんの患者6人で治療困難な腫瘍が縮小した。

  同氏はインタビューで、「これは極めて個人化された治療だ」と指摘した上で、
全ての患者のための新薬開発に取り組んでいると語った。
氏によると、ギリアドのカイト部門が開発契約に署名した。

  4日の米株式市場で、ギリアドの株価は一時3.7%上昇。終値は2.8%高の70.21ドルだった。

原題:Billions of T-Cells Clear Woman’s Breast Cancer in Study (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-06-04/billions-of-fighting-cells-clear-woman-s-breast-cancer-in-study

Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-05/P9TS7Y6S972801