外来種の「ムネアカハラビロカマキリ」というカマキリが国内で急速に広がっている。
在来種のカマキリを駆逐するおそれが心配されるが、研究者が調べたところ、
中国産の竹ぼうきについた卵が海を越え侵入してきた可能性が高いとわかった。
卵から幼生が大量にかえる時期を前に、専門家は「自宅や学校、
公園で使われる竹ぼうきに卵がないか注意してほしい」と呼びかけている。

 ムネアカハラビロカマキリは中国などにすみ、日本では2000年代に初めて発見された。
日本にいる在来種のハラビロカマキリに似ているが、腹側が赤っぽいほか、体長が最大8センチほどと大きく、
卵の孵化(ふか)時期が早いなどの違いがある。

 神奈川県立生命の星・地球博物館などの研究チームによれば、
東京都や新潟県、愛知県、京都府、鹿児島県など少なくとも20都府県で見つかった。
生態系への影響はまだよくわかっておらず、法律によって飼育などが禁止される「特定外来生物」ではないが、
侵入した地域で在来種がほぼ見られなくなったケースが、愛知県豊田市や神奈川県秦野市などの複数の地区で確認されている。新潟県では在来種が「準絶滅危惧種」に分類されている。環境省の曽宮和夫・外来生物対策室長は「生態系への侵略性に注目している。情報収集を進めなくてはいけない」という。

 外来種は通常、侵入地点から時間をかけて同心円状に広がるが、
ムネアカハラビロカマキリは近年各地で同時多発的に発見され、在来種説も出たほどの「謎のカマキリ」。
人間がペットとして持ち込み、故意に放した可能性もあるが、侵入経路は不明だった。

 研究チームは、「竹ぼうきが原因」とするネット上の「うわさ」をきっかけに調査を開始。
東京都の多摩動物公園では17年5月〜12月に仕入れた中国・浙江省産の竹ぼうき420本の約3%で、
大きさ約2センチの卵のかたまり(卵鞘〈らんしょう〉)が見つかり、
卵から生まれたムネアカハラビロカマキリの幼生も確認した。
16年には神奈川県内のホームセンターで売られていた竹ぼうきでも卵が見つかった。

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朝日新聞デジタル
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