2018年2月26日に小惑星探査機「はやぶさ2」搭載のONC-T(望遠の光学航法カメラ)によって、
目的地である小惑星リュウグウ(Ryugu)の撮影に成功しました。
撮影は、日本時間で正午から翌27日の午前9時まで行われ、300枚ほどの撮影がなされました。
2月27日のうちに9枚のデータが探査機から伝送され、
リュウグウが予定通りに撮影されていることが確認されました。
9枚の写真を連続的に表示したものが次の画像になります。

リュウグウの明るさは9等程度で、
上記の画像を見て分かるように周囲の恒星との相対位置が変化している様子も確認できています。
撮影が行われたときのリュウグウ-探査機間の距離は約130万kmでした。
「はやぶさ2」から見たリュウグウはうお座の方向に見えています。

撮影は、太陽、「はやぶさ2」、リュウグウがほぼ一直線に並んだタイミングで行われました。
次の図は、2018年2月26日に「はやぶさ2」のWebのトップページにある画像をキャプチャーしたものです。
リュウグウから見て「はやぶさ2」が太陽の方向にいることが分かります。

「はやぶさ2」は現在、イオンエンジンの運用を行っています。
上の図のような位置に探査機がいると、
探査機の姿勢をイオンエンジン噴射姿勢からあまり変更せずにリュウグウへONC-Tを向けることができます。
そのため、このタイミングでリュウグウの撮影を試みました。
リュウグウは、「はやぶさ2」の推定位置から計算された方向に正確に一致して観測されました。
このことより、「はやぶさ2」は予定通りの軌道上を飛行していると言ってよいでしょう。

今後、さらに残りの画像を探査機から伝送して、詳しく確認をする予定です。
まだリュウグウは点にしかみえませんが、目的地が確認できたことはプロジェクトにとって非常に嬉しいことです。

■津田プロマネから一言:
「小惑星発見の報に接し,はやぶさ2プロジェクトは小惑星到着の最終準備段階へ移行しました.
探査機の航路,性能ともに問題なし.このままリュウグウへの進路を維持し,最大推力で進行します.」

謝辞:
本カメラの開発、画像処理などの運用にあたり、東京大学、高知大学、立教大学、名古屋大学、
千葉工業大学、明治大学、会津大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所にご協力をいただいています。

画像:2018年2月26日12時頃から15時頃(日本時間)にかけて撮影された9枚の写真を連続的に示したもの。
中央付近で左から右にわずかに動いている天体がリュウグウ。個別の画像に一瞬だけ見える像はノイズである。写真の画角は0.8度。
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180301/img/Ryugu_firstlight_20180226_shift.gif
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180301/img/Ryugu_firstlight_20180228_NN_shift_CR2.jpg

画像:2018年2月26日の「はやぶさ2」Webトップページの図のキャプチャー
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180301/img/Screenshot_20180226-133041.png

JAXA はやぶさ2プロジェクト
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180301/