うつ病と言語の関係を調査する方法として、これまで取られていたアプローチは、
研究者が実際の被験者のノートを読み、メモを取ったりすることでした。
当然、人の手による調査となるため、研究を前に進めるのに時間がかかっていたとのこと。
テキストの自動解析と機械学習を用いて分析してみたところ、
これまで知られていなかった「うつ病」の人たちがよく使う言葉や表現が明らかになってきています。

Depression warning signs: Pay attention to the words they use — Quartz
https://qz.com/1198671/depression-warning-signs-pay-attention-to-the-words-they-use/

うつ病の症状を訴える人の多くが「孤独な」「悲しい」「悲惨な」など、
否定的な感情を示す「形容詞」や「副詞」を多用する傾向にあります。
しかし、最も興味深いものは代名詞の使用方法にあり、
「自分」「自分自身」「私」など一人称の代名詞を多用することが判明したとのこと。

逆に「彼ら」「彼女」など三人称の代名詞はほとんど使用されないことが明らかになりました。
この結果から、うつ病の人々は自分自身に強く重きを置いており、
他者とのつながりが少ないことを示しているとのこと。
研究によると、「うつ」を特定するには「否定的な感情を表す言葉」よりも
「代名詞の使い方」を調べる方がより効果的であると報告されています。


次に、64のオンラインメンタルヘルスフォーラムを対象に合計で6400人以上を調査した結果、
代名詞や否定的な感情表現とは異なり、「常に」「何もない」「完全に」など、
絶対的な大きさや確率を表現する「絶対主義的な言葉」を多用することがわかりました。

研究者によると、うつ病の人は白と黒をはっきりさせたい思考を強く持っていると考えられ、
「絶対主義的な言葉」を使っている人の有病率は「不安とうつ病のフォーラム」では約50%、
「自殺念慮フォーラム」では約80%とかなり高い値となっていたとのこと。
「代名詞の使い方」はフォーラム全体で「絶対主義的な言葉」と似た分布となることは確認できたものの、
ここまで高い有病率とはなっていないようです。
また、「否定的な感情を表す言葉」で調査すると「自殺念慮フォーラム」よりも
「不安とうつ病のフォーラム」の方が高い結果となったことが明らかになっています。

調査対象のフォーラムには、うつ状態から回復したエピソードなどの書き込みをする
「回復フォーラム」も含まれており、回復フォーラムに投稿された内容は「否定的な感情を表す言葉」が大部分を占めており、
またポジティブな表現も約70%と高い割合で存在したことがわかりました。
しかし、「絶対主義的な言葉」の出現率は「不安とうつ病フォーラム」よりもわずかに低い値にとどまりつつも、存在しているとのことです。
以前にうつ病を経験した人は現時点で何も問題がなくても、
「絶対主義的な言葉」の多用が見られるときは、「うつ」を再発させる兆候であると指摘されています。

関連ソース画像
https://i.gzn.jp/img/2018/02/09/depression-use-language/01_m.jpg

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180209-depression-use-language/