性別によって脳の神経回路網(ネットワーク構造)に違いがあることを、
和歌山県立医科大学の金桶吉起教授らが研究で明らかにした。
女性は月経周期によって変化することも分かり「脳に作用する睡眠剤や抗不安薬の使用を含めた神経精神疾患の治療研究には、
性別や女性の月経周期を考慮する必要がある」と指摘している。

 脳の神経細胞は150億個あり、互いにネットワークを組み、情報を交換しているが、
場所によってつながりの程度の強弱が個人差や疾患により違うことが分かっている。

 金桶教授らはこの現象が性別でも見られるか、2012年から研究を開始。
国内の大学生男女100人ずつの磁気共鳴画像装置(MRI)による画像を基に調査した結果、
男性は前頭葉、女性は後頭葉の付近でつながりが強いことが分かった。

 また、女性は月経周期によって脳のネットワーク構造が変化することも明らかになった。
特に月経前の症状(頭痛や腹痛、イライラ、不安感など)が強い人は顕著な結果が出たという。

 金桶教授は「男女は相当違うはずなのに、
開発研究だけでなく薬剤の注意書きにもめったに考慮されて書かれていない。
医療現場でも経験のある医師は知っているが、ほとんど考慮されない」と指摘。
「まずは男女で薬剤の使用量に差をつけることから考え、将来的には男女別に開発するべきだ。
性差を正しく理解しないと医療の発展はない」と主張している。

 研究結果は、米国の科学雑誌に掲載される予定。

紀伊民報
https://this.kiji.is/326995334579160161