世界保健機関(WHO)の外部組織・国際がん研究機関(IARC)の専門家が11日、
福島市内で県の県民健康調査検討委員会の部会メンバーらと意見交換した。

 東京電力福島第一原発事故当時主に18歳以下だった福島県民を対象に実施している甲状腺検査について、
IARC側は「必要以上の手術が行われている可能性がある」などと指摘。
同委員会は、今後の検査の進め方に生かす方針だ。

 県の委託で福島県立医大が実施する甲状腺検査では、
これまでに計194人が「甲状腺がんまたはがんの疑い」と診断されている。
同委員会は「放射線の影響とは考えにくい」との見解を示しているものの、
検査の進め方については議論が続いている。

 IARCと意見交換したのは、検討委の甲状腺検査評価部会のメンバーら。
IARC側からは、現在の検査の進め方について、
「本来必要のない手術につながる可能性がある」との意見が提示された。
その上で、WHOがんコントロール技術官・アンドレ・イルバビ氏は、
患者への心理的な負担や費用などの弊害を問題視し、
「適切な検査対象を定めるなど、検査による利益が弊害を上回るようにしなければいけない」と強調した。

 米メイヨー・クリニックのフアン・ブリトー助教は、
症状の表れていない人を対象にした検査で見つかった甲状腺がんを手術しても、
患者の死亡率がほとんど変わらないとする研究結果を紹介した。
その上で「一般的にはがんが死に直結するイメージを持つ人が多いが、甲状腺がんはそうではない。
患者との丁寧なコミュニケーションが重要だ」と訴えた。

 会合後、同検討委の稲葉俊哉・広島大原爆放射線医科学研究所教授は
「甲状腺がんは、見つかったからといってすぐに手術しなければいけないわけではない。
だが、県民の不安は強い。患者の対応の在り方について、専門家と知見を共有できたのは有意義だった」と話した。


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