科学者の代表機関・日本学術会議が、軍事研究対策として、
全国の大学が研究の適切さを審査する体制を設けているかなどを探る実態調査に乗り出す。

安倍政権は軍民両用研究の推進を掲げているが、年明けにもアンケートを実施し、
各大学の対応状況を踏まえて、軍事研究の拡大を防ぐ新たな方向性を検討する。

 防衛省や米軍資金などによる研究が国内の大学で広がっている実態を受けて、
学術会議は今年3月、軍事研究に関する新たな声明を半世紀ぶりに決議。
その中で軍事研究とみなされる可能性のある研究について、
技術面や倫理面から適切かどうかを審査する制度を大学などの研究機関に設けるよう提言し、
各学会にもガイドラインを設けるよう求めた。

 一方、防衛省が公募する研究資金制度の予算額は大幅に増えている。
今年度の同制度への大学からの応募は22件で、昨年度の23件とほぼ同じ結果だった。
研究者の間にも審査制度を設けることに、さまざまな意見がある。

 調査は、今秋就任した山極寿一新会長(京都大学長)らが計画。
学術会議内の委員会で会員の意見を聞いた上で決定する。
また、山極会長は「軍事と学術の距離の置き方を常に議論する場を設けたい」としており、
軍事研究に対する議論を新体制でも継続する方針だ。


毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20171221/k00/00m/040/148000c