0001しじみ ★
2017/12/14(木) 09:15:34.97ID:CAP_USER大きく揺れる船中で、船酔いがひどい人と船酔いしない(または軽い)人の呼気では、
後者の二酸化炭素濃度(以下EtCO2)の値が高くなることが分かった。これにより、船酔いの症状が重症化しそうな人をあらかじめ予想することが可能になる。
第54次南極地域観測隊(活動期間:2012年〜2014年)の長谷川 達央(はせがわ たつひさ)隊員を中心とする研究グループが
南極に向かう南極観測船「しらせ」で研究を行い発見した。
〈乗組員が叫んでしまうほど荒れる南極への航路〉
南極に向かう船内は、緯度40度ぐらいから南下するにつれて大きく揺れるそうだ。
これは暴風域に突入するためで、南緯40度から50度は”the roaring forties(ほえる40度)”と呼ばれている。
南半球の航海については、南緯40度で「ほえる」、南緯50度で「狂う」、南緯60度で「叫ぶ」ほど船内が荒れるとも言われる。
しらせ乗組員のベッドには、船が傾いたときに転げ落ちないように掴まるためのバンドが備え付けてあり、暴風域に突入する前には、
家具や段ボール箱は動かないようにしっかりと固定される。
第47次隊の初代しらせ(第51次隊からは、より揺れにくい2代目しらせが就役)での航海時には最大42度傾いたという記録が残っている。
ちなみに1998年の長野オリンピックで競技が行われた長野県白馬ジャンプ競技場(ラージヒル)の最大傾斜は37.5度。
どれほど船内が荒れるか少しはイメージできるだろうか。
南極へ航海する船内において、船酔いは医務室受診理由の40パーセントを占めるという。
しらせでは、観測隊員は航路でも実験作業などを行うが、船酔いがこれらの業務の大きな支障となっているのだ。
研究グループの長谷川氏は「症状が重い人もいる割に船酔いは検査などでの所見がなく、研究しづらい病気です。
検査で重症度などが客観的にわかる指標があれば、予防・治療方法の研究の助けになるのではないかと思います」と研究のモチベーションについて話してくれた。
もちろん船酔いは南極観測に限らず、漁船やコンテナ船など一般的な船上業務や、客船での観光においても大きな問題である。
そもそも乗り物酔いは、耳の奥の内耳(具体的には三半規管や前庭※1)が非日常的な揺れで刺激されることで起こる。
酔いの結果、自律神経系が乱れ、顔色が青白くなったり、冷汗が出たり、頭痛、唾液の増加、嘔吐などの症状が起こる。
※1 内耳内にある空間のひとつで、平衡感覚を生み出していると考えられている。
乗り物酔いに関する研究はいくつか行われてきた。
例えば、曲がりくねった道路を走る車中でDVDを見ながら乗り物酔いの重症度を測るという実験では、
乗り物酔いが重症化するほど呼気中のEtCO2値が低下するという結果が得られている。今回のしらせでの実験の目的は、
同様の変化が船酔いでも起こるかを検証することだった。
〈船酔いしにくい人は二酸化炭素を多く吐く〉
実験に参加したのは南極観測隊員14名(うち男性12名、女性2名、年齢23歳〜53歳)。
EtCO2値測定と主観的な船酔い度調査を、出港前に1回、出港後3日間3〜4時間ごとに13回行った。
EtCO2測定は被験者が3回行った呼吸の平均値を取った。
主観的な船酔い度調査は、アンケート形式のSSMS(Subjective Symptoms of Motion Sickness)の回答値をスコアリングしたものを使った。
船酔い症状が重い7名のグループと船酔い 症状が軽い7名グループを分けて同様にプロットすると、
症状が軽いグループのEtCO2値が高くなる傾向が見られた
また、船酔い症状が重いグループと軽いグループの出港前と航海中のEtCO2値を比較すると、
症状が軽いグループのEtCO2値が出港前より航海中の方が高くなり、症状が重いグループのEtCO2値は低くなっていることが分かる。
続きはソースで
SciencePortal
http://scienceportal.jst.go.jp/clip/20171211_02.html