私は何日かに分けて電気痙攣療法を計8回受けた。
使われる電極は、「イ」、「ロ」、「ハ」と記号が振られていて。それぞれ頭のどの部分に接触させるか正確に決まっている。
それに加え黒いシート状の電極も額に貼られる。
電流は電場と同じ向きに(等電位面に垂直に)流れるので、流す大きさと部位も出鱈目ではないようだ。
台に乗せられマウスピースと酸素マスクを付ける。
心拍数の上昇を示す警報音が恐怖を煽った。
通電中は赤い文字列のようなものが視界にどっと入ってきた気がする。
半年以上、通電時に流れるブザーの音に似た音がするだけで恐怖を感じるようになった。これは単純な条件付けだと思う。
何か月かの間、眼を閉じるとB29とかMIL記号とか髑髏とかが見えるようになった。
書き込まれたのではないかという不安もあったが、それほど高度なことはできないと思うので、たぶん普段考えていたことが映像化されたのだと思う。