■希少金属使わず、カリウムで構造安定化
 東京大学大学院総合文化研究科の瀬川浩司教授と東大先端科学技術研究センターの別所毅隆特任講師らは、
次世代太陽電池と期待される「ペロブスカイト太陽電池」の材料に、ルビジウムなどの希少金属を一切使わずに、
20・5%と高い変換効率と発電の安定性を実現した。地球上に多く存在するカリウムを添加して結晶構造を安定化させた。
長期の耐久性試験を行うとともに、パナソニックや東芝などと実用化に向けた評価、検討を進める。

 ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイトという結晶構造を持つ材料を使う太陽電池。
現在主流のシリコン系太陽電池より製造工程が簡易で、製造コストが低い。

 だが、実用化の目安となる変換効率20%以上の太陽電池は、
ルビジウムやセシウムなどの希少金属を使って構造を安定させており、普及には障壁となっている。

 研究グループは、特定の条件でカリウムを添加することで結晶構造を保持し、希少金属を一切使わずに欠陥のないきれいな発電層を作ることに成功した。
電子の流れを阻害せず、変換効率と発電の安定性を高められる。

 また、カリウムを使うと、電流と電圧の変化のさせ方により発電量が変わる「ヒステリシス現象」を抑えらることも確認した。
ルビジウムなどを使う場合より抑制効果は高く、より安定的な発電ができる。
同太陽電池はこの現象により正確な変換効率測定が難しく、実用化の課題になっていた。

 研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの一環。
2020年までに変換効率25%、1万時間の光照射後に95%以上の効率維持を目指している。

 瀬川教授は、「将来の実用化や普及を考えると、手に入りやすい材料だけで作れることの意義は大きい。
耐久性や安定性での課題をクリアしながら、変換効率25%達成を急ぎたい」と話している。

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