人間とショウジョウバエの神経回路がほぼ同じ仕組みだったとする研究結果を、
坪内朝子・東京大特任助教(神経生物学)の研究グループが3日付の米科学誌サイエンスに発表した。
これまでの研究では、視覚や聴覚、嗅覚、味覚の四つで似ていることが分かっていたが、最後の触覚の構造もほぼ同じだったことが今回解明され、
「五感」の全てで人とショウジョウバエとの共通性を見いだすことができたという。


研究グループは、活動すると光る蛍光たんぱく質をショウジョウバエの脳や末梢(まっしょう)神経に入れ、神経回路の構造を調べる方法を開発。
触覚について調べたところ、温度や痛みを感じる神経のほか、体毛などを感じる神経などが、腹から背にかけて順番に層を形成していた。

 一方、人の体内では同じ神経の並びが、ショウジョウバエとは逆に背から腹にかけて形成されていたが、
人とショウジョウバエとでは背の部分と腹の部分が逆転しているため、神経組織の並びとしては同じだった。

 人の祖先とショウジョウバエの祖先は6億年以上前に分かれたとされるが化石が残っておらず、
共通の祖先がどんな生物だったかは分かっていない。グループの伊藤啓・東京大准教授は「人とショウジョウバエの共通の祖先は、
当時としてはある程度、高度な脳を持っていた可能性が高い」と話している。

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20171103/k00/00m/040/166000c