2017.10.27 FRI 19:00
宇宙に隠れていた「ダークバリオン」の検出に成功──「宇宙マップ」を描く道が開けた


宇宙を構成する物質のうち、われわれが知覚できるとされる物質「バリオン」。これまで理論値の半分しか観測できていなかったが、その残りである「ダークバリオン」の検知に2つの研究グループが成功した。これにより、現在の技術で「宇宙マップ」をつくれる可能性が出てきた。
TEXT BY SANAE AKIYAMA

われわれの宇宙には、クモの巣状に分布したダークマターの大規模構造[日本語版記事]がある。そして見えない網の目に沿うように、可視光で観測可能な銀河団が存在しているといわれている。

そのなかに、われわれが知覚できるとされる星や銀河などの普通の物質「バリオン」は、宇宙を構成するもののわずか4.6パーセントにすぎない。そのほかの95パーセント以上は、未知のダークマターやダークエネルギーで構成されているというのが、現在までに行われてきたさまざまな観測、モデル、シミュレーションなどで一致している見解である。

ところが、これまで実際に人類が観測により把握できていたのは、星や銀河、銀河団に存在する高温ガスを足し合わせても、4.6パーセントあるバリオンの半分ほど。では残り半分は、いったいどのような形態で、宇宙のどこに隠れているのだろう?

長らく天文学者らは、この「ミッシングバリオン」または「ダークバリオン」が、銀河団同士を繋げているダークマターの網の目構造(フィラメント)に、高温・低密度のガスとして隠れているのではないかと予測してきた。そして今回、偶然にも同時期に、同じ観測方法を使用したふたつの研究グループによって、フィラメント内のバリオン密度が測定された[論文1PDF][論文2PDF]。隠れたバリオンの存在が、ようやく明るみになったのだ。
--- 引用ここまで 全文は引用元参照 ---

▽引用元:WIRED 2017.10.27 FRI 19:00
https://wired.jp/2017/10/27/dark-baryon/

米航空宇宙局(NASA)のマイクロ波観測衛星「WMAP」が観測した温度のゆらぎのデータから描かれた、宇宙の“地図”。PHOTOGRAPH COURTESY OF NASA/WMAP SCIENCE TEAM
https://wired.jp/wp-content/uploads/2017/10/ilc_9yr_moll1024BW_1240.jpg

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