うちの柴雑種で元気だけが取り柄の子が、真ダニに噛まれた。25年前。

当時、真ダニなんて知らなくて、「イボ」が出来始めたんだと笑ってた。
朝見て、昼見て、夜見て、旦那が帰る頃には更に大きくなってて…。
猫っ可愛がりしてた犬だったけど、「イボ」だと思いこんでしまってた。
次の日、「イボ」周辺が炎症を起こして肌が見えた、その肌との境からニョッキリと食い込んだ幾本もの細い足が動いて見えた。
反射的に「イボ」を捩じってひっぺ替えしたけど、イボの無くなって赤く炎症した肌の真ん中に肌から生え出た手足が二三日動いていた。
「真ダニ」なんて知らなかったから、恐ろしいものだと知らなかったから、これでもう大丈夫だと思ってしまった…

1年後、夏バテ気味になったのは気付いてた。でも喜んで散歩もするし食欲も落ちてないし。
ある夜、寝室から外をのぞくと、いつもならこちらを見るワンコが柴の上に四つん這いになったままだった。
あわてて寄ると、目がすっごくキラキラしててお星さまを見上げてるようだった。
いつもと違うのはわかったから、二時間ほど添い寝をしたんだ。

いつもと違うのはわかったけど、次の日子どもの保育園の初めての運動会だったから、
車で30分の実家の母を迎えに行かなきゃならなかったし、お弁当もこさえなきゃだし、
いつもに増してタイトな朝になるはずだったから、添い寝の後寝室で寝たんだ。
4時半、起きてワンコを見たら…もう…もう…
耳元で名前呼んだ、叫んだ、体は温かいけど手足が…もう…

パパもこどもも起きてきて、みんなで私を抱っこしてくれて私がワンコ抱っこして…ひとつ大きく息を吐いて、死んじゃった。
あの時の自分も無知を、いい加減な対処を後悔してる。すなちゃん、ごめんね。