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宇宙で最も冷たいブーメラン星雲のガス。赤色巨星(写真中央)からガスが上下方向に超高速で噴出している(一酸化炭素をオレンジ色で表示。アルマ電波望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測)(NASAなど提供)
 地球からケンタウルス座の方向に約5000光年離れた赤色巨星から噴出するガスが宇宙で最も冷たいのは、かつて存在した伴星が赤色巨星と合体し、ガスの流れが超高速になったことが原因である可能性が示された。米航空宇宙局(NASA)などの研究チームが11日までに、米天文学誌アストロフィジカル・ジャーナルに発表した。
 赤色巨星は水素の核融合反応で輝いていた恒星が寿命に近づき、中心核が収縮して高温になる一方、周囲を取り巻くガスが膨張して暗くなった状態。今回の研究対象の赤色巨星付近のガスは「ブーメラン星雲」と呼ばれ、何もない宇宙空間の標準的な温度より低く、絶対0度(セ氏零下273.15度)に近いことが1995年に分かった。
 その後の観測で、ガスは赤色巨星の自転軸の方向に秒速164キロの超高速で噴出しており、流れがあまりに速いため温度が異常に低下していることが判明したが、なぜ超高速になったかが謎とされていた。
 研究チームは日米欧などが南米チリに設置したアルマ電波望遠鏡で詳しく観測。この赤色巨星はかつて別の小さい恒星と連星を成して互いに高速で回っていたが、接近・合体した影響でガスの流れが超高速化したと推定した。この状態は長く続かず、ガスの温度はゆっくり上昇し始めているという。(2017/06/11-12:29)