君のような秀才にはわかるまいが、
「自分の生きていることが、
人に迷惑をかける。僕は余計者だ」
という意識ほどつらい思いは世の中に無い。


弱虫は、幸福をさえおそれるものです。
綿で怪我するんです。
幸福に傷つけられる事もあるんです。


てれくさくて言えないというのは、
つまりは自分を大事にしているからだ。


ぽかんと花を眺めながら、
人間も、本当によいところがある、
と思った。
花の美しさを見つけたのは人間だし、
花を愛するのも人間だもの。


今の女性は個性がない、
深みがない、
批判はあっても答えがない、
独創性に乏しく模倣ばかり。
さらに無責任で自重を知らず、
お上品ぶっていながら気品がない。


子供より親が大事、
と思いたい。
子供のために、等と、
古風な道学者みたいな事を
殊勝さらく考えても、
何、子供よりも、
その親の方が弱いのだ。


親が無くても子は育つ、という。
私の場合、親が有るから子は育たぬのだ。

- 太宰治 -