蒲島郁夫熊本県知事は、自然環境の保護等を理由にダム反対を表明するに至ります。つまり、人吉市を中心とした球磨川沿岸域の人々の命と財産を守る為に、1966年から40年以上の歳月をかけて7割方進捗していた川辺川ダム事業が、当時の空気に押されて破棄されるに至ったのです。この時に既に、今回のような大水害が球磨川決壊によって起こることは、誠に遺憾ながら半ば決定づけられたと言えるでしょう。そもそも川辺川ダムは、2008年に中止されていなければ、(1100億円の予算で)2017年には完成していたはずでした。その後非現実的な提案がありましたが、そんな事業を政府が決定することなど出来る筈も無く、未だ着工すらされていないのが実情です。つまり、ダム中止から12年間、球磨川決壊に対する「抜本的」対策は、何ら進められることなく、今を迎えてしまった、というのが現実なのです。そもそも当初に技術者達が検討した様に、ダム以外の現実的な解決策など存在しないわけだったのですから、ダム中止となってしまった以上、こうなるのは当然の帰結だと言わねばなりません。責任の帰結は明らかです。