2020年12月18日 20時12分

 【パリ=谷悠己】フランスでマクロン大統領の新型コロナウイルス感染の余波が広がっている。クリスマスを前に仏政府は「会食の参加者は6人まで」と国民に求めていたが、マクロン氏自身が感染判明前夜に10人以上で会食していたことが判明。参加者が次々と自主隔離する事態に、仏メディアは「クラスター(感染者集団)化の恐れもある」と報じている。
 マクロン氏は17日朝にPCR検査で感染が判明。その後もオンライン会議に出席するなど執務を続けたが、せきや疲労感の症状があるという。
 仏政府は午後8時以降の外出禁止令を発令中だが、16日夜のエリゼ宮(大統領府)での会食は未明まで続いた。参加者は与党の有力議員や大統領顧問ら10数人で、マクロン氏の最も近くに座ったカステックス首相やフェラン国民議会(下院)議長らが保健当局の指示で自主隔離を始めた。
 大統領府は「政治課題を話し合う目的で、感染防止のため700人収容の大広間を使用した」と説明。参加者の1人は公共ラジオのフランス・アンフォに「1.5メートル間隔で座り、換気もして、食事中以外はマスクを着けていた」と証言した。
 コロナ軽視の姿勢を貫いた末に10月に感染したトランプ米大統領らと異なり、マクロン氏は「外出時は消毒液を持参するなど常に用心していた」(政府広報官)という。感染判明前まで各国首脳らとの会談や会食も重ねており、会談相手の自主隔離も相次いでいる。
 先進7カ国(G7)の首脳ではジョンソン英首相が3月に感染しており、マクロン氏は3人目となる。

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