・「コロナで死亡した大学教授」は存在していなかった…その驚きの正体

科学界のMeToo運動の牽引者が…

この数ヵ月間、新型コロナウイルスの感染者として、その症状や闘病生活についてツイートしていた匿名アカウント(@Sciencing_Bi)があった。

米アリゾナ大学の人類学教授を名乗るが、本名は不明。4月に「約200人の生徒の前で教鞭をとることを大学側に強要されて」、「新型コロナウイルスに感染した」。「入院中に給与を15%カットされた」ともつぶやいていたと報道されている。

この人物と6月頃からメッセージのやりとりをしていたという、カリフォルニア大学の遺伝学者の証言によると、「新型コロナ感染からの回復がいかに困難かをよく語っていた」とのこと。

そして7月31日、この匿名教授は「感染による合併症により」息を引き取った。

「悲しいお知らせです。@Sciencing_Biは、新型コロナで亡くなりました」
「ベッドの横で彼女を見ているのは辛く、涙が止まらない」

そう投稿したのは、米ヴァンダービルト大学の神経学の元助教授、神経科学者のベサン・マクラフリンという人物だった。それまで、この匿名教授とメッセージのやりとりをしてきた人々は、彼女が亡くなったことをマクラフリンのツイートで知ったという。

しかし、それから数日後、この匿名教授とマクラフリンの両方のアカウントが突然凍結された。

また同日、アリゾナ大学の代表は、匿名教授が投稿していたことは「でっち上げだった」と表明。対面授業は3月以降おこなっておらず、教員の給与カットもしていないと述べ、さらには「新型コロナで死亡したと報告されている者は、うちの大学にはひとりもいません」と語った。

それから間もなく、この匿名アカウントの人物自体も「でっち上げ」で、実在していなかったことが発覚。でっち上げたのは、友人を装い「亡くなった」とツイートしたそのマクラフリンだった。

マクラフリンは、MeToo運動の創始者タラナ・バークらと共に2018年に「MITメディアラボ不服従賞」を受賞した人物である。中央のタラナ・バークの左隣、白いジャケットを着ているのが彼女だ。
https://twitter.com/JaniceFiamengo/status/1291040238702194688

彼女はSTEM(科学・技術・工学・数学)の分野の女性が、匿名で性差別やハラスメントを告発できるウェブサイト「MeTooSTEM.com」を立ち上げ、科学界のMeToo運動の牽引者として評されていた。

しかし、その一方ではツイッター上で実在しない人物の偽アカウントを作り、なりすましをおこなっていたのである。いったい、なぜ?

偽アカウントのペルソナは、バイセクシュアルで非白人女性

米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、彼女がアリゾナ大学の教授を名乗る偽アカウント上でツイートを始めたのは2016年。セクシャルハラスメントやソーシャル・ジャスティス(社会正義)、科学の分野の多様性の欠如などについて投稿し、主に大学教授や学者たちとのオンライン上のつながりを構築していたという。

偽アカウントのペルソナも明確だった。ネイティブアメリカンのホピ族の血を引くバイセクシュアルの女性で、出身はアメリカ南部のアラバマ州。過去には「クィアへの偏見が強いので他州へ逃げた」と語っていたと、同紙は報じている。
https://courrier.jp/media/2020/08/12100448/GettyImages-1068052336-625x417.jpg

また、「新型コロナに感染した」とツイートした後は、上述のような事実無根の大学批判だけでなく、ネイティブアメリカンの感染率や死亡率の高さに憤りの声もあげており、一定の共感を集めていた。

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2020.8.14 クーリエ・ジャポン
https://courrier.jp/news/archives/208798/
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account)