新型コロナ、抗マラリア薬で死亡率増加 治療効果みられず
AFP 2020年5月23日 5:54 発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3284467

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米ユタ州プロボの薬局で販売されているヒドロキシクロロキン(2020年5月20日撮影、資料写真)。(c)GEORGE FREY / AFP

【5月23日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」と「クロロキン」の効能について、患者10万人近くを対象に調査したところ、治療効果がみられなかったばかりか、入院中の死亡率が増加したことが分かったとする論文が22日、英医学誌ランセット(The Lancet)に発表された。

 ヒドロキシクロロキンは通常、関節リウマチの治療に使われているが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領をはじめとする政治家らがCOVID-19治療薬として言及したことから、各国政府が大量購入するようになった。トランプ氏は今週、自身がヒドロキシクロロキンを服用していると明かしていた。

 ヒドロキシクロロキンとクロロキンはいずれも、不整脈などの深刻な副作用を引き起こす可能性があるが、論文では数百の病院から集めた患者9万6000人のデータを分析した結果として、COVIC-19の入院患者に対する治療効果がなく、投与によりむしろ死亡率が増加したと結論付けている。

 研究チームは、ヒドロキシクロロキンのみを投与された患者、クロロキンのみを投与された患者、さらにそれぞれの薬と抗生剤を併用した患者の計4グループと、これらの投与を受けていない制御グループの治療結果を比較した。

 対象期間内の死亡率は、制御グループで約9%だった一方で、ヒドロキシクロロキンとクロロキンを単剤投与された患者ではそれぞれ18%と16.4%だった。死亡率は抗生剤併用時にさらに増加し、クロロキンでは22.8%、ヒドロキシクロロキンでは23.8%だった。(c)AFP/Patrick GALEY