・ドイツの各州が続々「移民ギャング摘発」に乗り出す深刻な事情

いずれ日本でも同じことが起こる:川口 マーン 惠美

悪事のネットワーク

ヨーロッパには、都市の一部、あるいは郊外の一角が、外国人犯罪グループの根城となってしまっているようなケースがよくある。観光ガイドなどで、「旅行者は絶対に足を踏み入れないように」と警告されている危険エリアがそれだ。

ドイツも例外ではなく、ベルリンやハンブルク、ケルンなどを始め、多くの都市にそういう物騒な地域があり、ドイツの中でありながら治外法権のようになっている。

当然、そういう場所からは元からいた住人は弾き出され、小・中学校などは外国人ばかりになる。教師も怯えて行きたがらない。下手をすると、警察もあまり来ない。ベルリンでは、民間の警備会社を雇っている学校もあった。

外国人犯罪グループはたいてい血縁集団で、ドイツの法律などどこ吹く風、自らの掟にしたがって生活している。イメージとしては「ゴッドファーザー」の世界だ(ただし、イスラム教の)。

そのためこういう犯罪グループを、その出身地別に、ルーマニア・マフィアとか、ウクライナ・マフィアとか、アルバニア・マフィアなどと呼んだりするが、その元祖は、70年代後半に入ってきたレバノン・マフィアとトルコ・マフィアだと言われる。トルコ・マフィアにはクルド系も多い。

なぜ、70年代後半に多くのレバノン人とクルド人が入ったかというと、当時のドイツ政府が、レバノン内戦を逃れてきた中東難民と、トルコで抑圧されていたクルド難民に政治亡命を認めたためだ。現在、ドイツには300万人ものトルコ系の住人がいるが、そこには多くのクルド人が含まれている。

当時、ドイツに根を下ろした彼らの多くが、看護師や、タクシーの運転手として、あるいは、飲食店などで勤勉に働いていた傍ら、ドイツ社会に溶け込まず、ドイツの法律にも従わず、せっせと違法行為に勤しむ人たちがいた。

そして、彼らはその後40年を掛けて、警察も足を踏み入れたがらない“no go area”を作ることに成功したばかりか、法律のグレーゾーンを巧妙に利用する形で、犯罪のビジネスモデルを作り上げた。

麻薬、売春、密輸、スリ団、空き巣団、物乞い集団、さらに現在は、難民の密航幇助と、手を染めている犯罪の種類は多岐にわたる。ただ、下手に告発しても、今では裁判で検察が負ける可能性も高いという。ギャング達はプロなのである。

また、ドイツでは90年以降も、ソ連、および共産圏の崩壊、こじれにこじれたユーゴ内乱と、難民の流入は続いた。

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2019,06,21 現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65387