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2019/03/10(日) 21:22:23.18ID:CAP_USER【3月9日 時事通信社】英国の欧州連合(EU)離脱で、最大の焦点となっているアイルランド国境問題をめぐり、EU加盟国アイルランドと隣接する英領北アイルランドの住民の不安が募っている。英国への帰属維持かアイルランドとの統一かで対立したプロテスタント系とカトリック系の紛争に終止符を打った和平合意から21年。EU離脱で国境の自由な移動が再び制限される事態になれば、和平プロセスが振り出しに戻りかねないためだ。
◇悲しい過去
英議会は1月、メイ首相の離脱合意案を大差で否決した。アイルランド国境に税関や検問所などの施設を設けないことにした和平合意に配慮し、離脱案には「バックストップ(安全網)」と呼ばれる代替策を盛り込んだが、反対派は「実質的なEU残留措置だ」と批判している。このまま何の取り決めもなく離脱すれば、国境施設の復活は不可避となる。
検問所は、北アイルランドでは悲しい過去と不可分だ。1960年代後半からカトリック系住民による公民権運動が始まると、英政府は検問所を各地に設け、軍や警察を動員して鎮圧した。
その象徴が72年1月の「血の日曜日事件」だ。北部のロンドンデリーで行われたデモに英軍が発砲し、住民14人が殺された。紛争はその後激化、98年の和平合意までに3500人以上が死亡した。
事件で英軍兵士に父親を殺されたグレン・ドハーティーさん(47)は「98年以前に戻ってしまうことを深刻に懸念している。しかし、英議会の政治家たちはわれわれのことなど気にも掛けていないのだろう」と顔を曇らせる。カトリック系住民の英軍・警察に対する不信感は今も強いという。
ドハーティーさんによると、和平合意前はロンドンデリー市内でさえも住民の築いたバリケードや警察の検問で自由に行き来できなかったが、和平合意で変わった。市内を流れる川の両岸にはカトリック系とプロテスタント系住民が分かれて居住しており、2011年に両岸を結ぶ「ピース・ブリッジ」が開通した。文字通り和平の象徴だ。
◇なお消えぬ対立
今年3月5日、ロンドンの空港や主要駅に爆破装置の付いた不審な小包が届いた。アイルランドの切手が使用されていた。かつて紛争でテロ行為を繰り返したカトリック系の「アイルランド共和軍(IRA)」を想起させ、警察は新たな過激派「新IRA」の犯行の可能性もあるとみて捜査している。
1月にはロンドンデリー中心部で車爆弾が爆発。けが人はなかったが、新IRAの犯行とみられている。地元住民は「市民のほとんどは支持していない」というが、流血の記憶を呼び起こした。
北アイルランド政界も分断されたままだ。メイ政権に閣外協力するプロテスタント系の民主統一党(DUP)は、バックストップが英本島との一体性を損なうとして見直しを要求。一方、カトリック系のシン・フェイン党は維持を訴えている。
シン・フェイン党のミシェル・オニール副党首は「暴力の時代に戻してはならない」と強調。合意なき離脱となれば「和平を求める住民の意思を確認するため、南北アイルランド統一の是非を問う住民投票を実施すべきだ」と主張している。(c)時事通信社
関連:Britain’s biggest Brexit headache isn’t the Irish border—it’s Gibraltar
https://qz.com/1565410/the-biggest-brexit-issue-isnt-the-irish-backstop-its-gibraltar/
(画像)
https://cms.qz.com/wp-content/uploads/2019/03/RTX2I2LA-e1551783507273.jpg
2019年3月9日 15:55 AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3214977?act=all