・鳥の雌、パートナー選びの基準は「頭の良さ」か 研究

【1月11日 AFP】鳥類の雄では、鮮やかな色の羽や工夫を凝らした歌声を持つものが多いが、実際に雌が高く評価しているのは雄の「知力」かもしれないとする研究結果が10日、発表された。

 米科学誌サイエンス(Science)に論文が掲載された今回の研究は、進化論を提唱した英国の自然科学者チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)の従来説の一つと整合する。この説では、繁殖相手(配偶者)の選択が知力の進化に寄与する可能性があると考えられている。

 中国科学院(Chinese Academy of Sciences)とオランダ・ライデン大学(Leiden University)の共同研究チームが執筆した論文によると、「今回の研究は、認知能力(の駆使)を目の当たりにすると、配偶者選択にも影響が生じるということを実証している」という。


 求婚する雄の利口さは、体つきや歌声よりも重要度が勝るとする説を検証するために、研究チームはオーストラリアに生息するオウム目の小鳥、セキセイインコ34羽を用いた実験を行った。

 実験ではまず、外見が似ている雄2羽を、雌1羽と鳥かごの中で対面させた。この鳥かごは、雌が雄に1羽ずつしか接触できない仕組みになっている。今回と同様の設定で行われた過去研究では、外見がやや良い雄やより魅力的な歌声を持つ雄を雌が好む傾向があることが示されていた。

 雌がどちらの雄を好んでいるかは、雌が雄と接触するのに費やす時間の長さで判別した。

 その後、雌に好まれなかった方の雄を別の場所に移し、そこで餌となる種子がたくさん入った容器のふたを開ける特別な訓練を受けさせた。一方、雌と好まれている方の雄にはその訓練を施さず、自由に種を取り出して食べることのできるふたのない容器を与えた。

 次に、ふたをした容器が入れてある鳥かごに雌を移動させ、訓練を受けた雄が餌箱のふたを器用に開ける様子を観察させた。さらに、雌が初見で好みの相手とした、訓練を受けていない雄が餌箱を開けられない様子も同じように観察させた。

■心変わり

 実験の結果、雌9羽のうち8羽が心変わりをした様子を見せ、餌箱を開ける能力が高い方の雄と触れ合う時間が、訓練の前よりも長くなった。

 この実験について論文は、「今回の結果は、性選択が動物種全体の認知特性の進化に影響を与える可能性があるとする、ダーウィン以降の仮説を裏付けるもの」と指摘している。つまり、自身が備える知力を示すことでより多くの繁殖相手を獲得し、未来の世代に自らのDNAをより多く残すための助けとなることが考えられるのだ。

 だが、この仮説を動物界で証明するのは容易ではないと専門家らは指摘しており、求愛儀式のような複雑な行動が伴う場合は特に難しいと注意を促している。

 今回の研究に参加していない米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)の専門家らは、サイエンス誌に同時掲載された解説記事で、「雄が容器を開けるのに成功したのは、体力が優れているからだと雌が判断した可能性もある」とコメントしている。

 しかし、今回の研究手法については、「認知特性のための配偶者選択に関する実証的研究を前進させることが大きく期待できる」と称賛した上で、「将来の研究において配偶者選択に関する調査の重要なツールとなる」可能性が高いと述べている。(c)AFP

・Are clever males preferred as mates?
http://science.sciencemag.org/content/363/6423/120

・Female budgerigars like smart males
https://www.universiteitleiden.nl/en/news/2019/01/female-budgerigars-like-smart-males

(セキセイインコ)
http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/1/c/1000x/img_1c23d1abc8c53be4e184e7b3cc7ee13388396.jpg

2019年1月11日 11:33 AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3205985?act=all