2018年の前半、ドイツ全土には、難民資格に適合せず、母国に帰らなければならない人が23万4600人いたが、そのうち17万4000人はすでに容認状態となっており、帰国の予定なし。しかも、たとえ犯罪者でも帰せない。危険な国に送り帰しては、彼らの人権が守られないという緑の党系の意見が強いからだ。

私の見るところ、多くのドイツ国民は善行をしたいという強い願いを持っており、本当に困っている難民を受け入れ、支援することには賛成だ。ただ、犯罪を犯した外国人がドイツの税金で自由を謳歌し、治安を不安定にしていることには納得していない。

しかし、与党のCDUやSPDは、自分たちの難民政策が断罪されるのを恐れ、これら当然の市民の声を、極右の外国人排斥に結びつけて押さえ込んできた。

今回の事件のあとも、「今回の犯人が難民であっても、難民を十把一からげに犯罪者扱いしてはいけない」などといういつもの呪文が唱えられた。そんなこと、誰もしていないのに!

というわけで、ここ3年間、常に話題となっている難民問題が、すでに元旦から沸騰している。

・自縄自縛のEUが向かう先
一方、EUはどうなっているかというと、今年の前半の欧州理事会の議長国がルーマニアに回ってくる。

欧州理事会というのはEUの最高意思決定機関で、各国の首脳で構成されている。議長は半年の輪番制。ところが、欧州委員会のユンケル委員長が、「ルーマニアは欧州理事会の長の重要さがわかっていない!」と苦情を言い続けている。

実は現在、ルーマニアでは、政府の長と国家首脳である大統領が抗争している。ヨハニス大統領が、これから半年間、全力を尽くして世界の信用を勝ち取ると声明を出したと思ったら、ダンチラ首相が、自分が国家代表としてEUの理事会に行くと言い出した。

自分の国のことさえまとめられていない状態なのに、どうやってこの複雑な28ヵ国の利害をまとめるのかと、ユンケル委員長が頭にきているのもわからないではない。しかし、そんな批判はどこ吹く風。元旦から予定通り、議長のバトンはオーストリアからルーマニアに渡った。

ただ、こともあろうにEUではこの半年、重要事項が続く。まず、3月のBrexit(イギリス離脱)、5月のEU議会選挙、そして、とりわけ難しいのが予算審議。

EUは7年の枠で予算を決めるので、これから、21年から27年の分を決めていかなければならないが、予算総額は1兆ユーロを超えるし、どの国も、出す分は少なく、貰う分は多くと、熾烈な戦いとなる。

そして、それを仕切るのが汚職大国として名を馳せるルーマニア。はたしてどうなるのか?

ただ、私はユンケル氏に言いたい。「そんな危うい国をどんどんEUに入れたのはあなたたちでしょ」と。EUを率いるに力不足の国はルーマニアだけではないし、それどころかEUは今だって、もっと危なそうな国のいくつかと加盟交渉を続けている。こういうのを自縄自縛というのである。

今年は、世界情勢も不穏だし、とくに中東は瓦解していると言っても過言ではない。日本人もできるだけアンテナを高くし、それらの情報をいち早くキャッチする必要がある。

そう思いつつ、2日(2日からは平日)、ATMでお金を下ろそうとしたら、現金輸送会社のストだとかでATMが空っぽ。まあ、カードがあるから大丈夫と思って、夜、レストランに行ったら、会計の時になって、「機械が故障しているので現金で払ってくれ」と言われた。2019年は、お財布が空っぽになった年初めだった。