・海賊版サイトを放置するCloudflareは著作権侵害の責任を負うのか − ウェディングドレスメーカーが提訴

Cloudflareが著作権侵害に寄与・幇助・助長したとして、カリフォルニア州連邦裁判所で新たな訴訟が提起されている。訴状では、同社が著作権侵害を繰り返す顧客にサービスを提供し続けたとして、直接責任を負うとしている。驚くべきことに、この訴訟はハリウッドや大手レーベルが起こしたものではなく、2社のウェディングドレスメーカーが提訴したものであった。

米国の大手CDN・DDoS保護サービス「Cloudflare」は世界中のウェブサイトに利用されている。その中には、無数の海賊版サイトが含まれており、たとえばパイレート・ベイのようなサイトも、サーバの負荷を抑え、拠点を隠すために同社のサービスを利用している。

このことは、多くの著作権者の悩みの種になっており、しばしばCloudflareの果たす役割が批判の的になっている。一般的に、大手エンターテイメント企業は社会的な圧力を高めるアプローチをとっているが、なかには訴訟を起こす企業もある。

2016年、Cloudflareは、アダルトパブリッシャの「ALS Scan」から提訴された。この訴訟は、今年夏に和解に至ったことで終結したが、同社に降りかかる困難はこれで終わりではなかった。

新たにCloudflareの前に立ちはだかったのは、大手エンターテイメント企業ではなく、ウェディングドレスの製造・卸売業者2社であった。典型的な「著作権侵害」訴訟ではないものの、著作権訴訟全体に大きな影響を及ぼす可能性がある。

カリフォルニア州連邦裁判所に提出された訴状によると、Mon Cheri BridalsとMaggie Sottero Designsの2社は、再三の警告にもかかわらず、Cloudflareが偽ブランドサイトへのサービス提供を停止しなかったと主張している。このことは、Cloudflareが関連する著作権侵害に責任を負うことになるという。

「原告らは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき、Cloudflareに数百件の『テイクダウン通知』を提出しているが、Cloudflareが侵害者へのサービス提供を停止することはなく、原告の通知を不履行ないし拒否した」と原告は主張する。

「したがって、Cloudflareは顧客の侵害行為に責任を負うことになる」

模造品を販売する偽ブランドサイト問題は、今に始まったことではない。最近も米ブライダル&プロム産業協会は、数百の偽ブランドサイトを提訴し、1500以上のドメインを停止させている。

しかし、今回のウェディングドレスメーカーの訴訟はさらに一歩踏み込み、第三者の仲介者の責任を問おうとしている。訴状では、侵害サイトを運営する匿名の「ドゥー」も訴えられているが、このCloudflareこそが主要なターゲットとなっている。

Mon Cheri BridalsとMaggie Sotteroは、Cloudflareが「著作権者による法的措置から海賊版サイトやそのホストを保護」し、「あらゆる侵害コンテンツを削除できないか、そうする意志がない」と主張している。

この主張は、ALS裁判と同様のものである。当時、Cloudflareは、同社は単にファイルをキャッシュしているだけであり、たとえ侵害コンテンツ(訳註:のキャッシュ)を削除したとしても、侵害そのものが取り除かれるわけではない、と反論した。

裁判所は、Cloudflareのキャッシュが同社の管理下にあることから、実質的な侵害行為とみなされる可能性に留意し、この主張を退けた。しかし、同社に責任を問えるかどうかについては、明らかにはしなかった。

・Cloudflare Sued for Failing to Terminate Repeat Infringers - TorrentFreak
https://torrentfreak.com/cloudflare-sued-for-failing-to-terminate-repeat-infringers-181121/

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November 21, 2018
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