ある曇った初夏の土曜日、サンフランシスコの北へ車で3時間ほどの所にあるアルビオン・コーブに、漁業関係者とレクリエーションボート乗り、ウェットスーツに身を包んだダイバーという珍しい集団がある任務のために集まった。

「今日の私たちのターゲットは、紫のウニです」と、そのイベント "悪の紫ウニ" を開催したボート釣りのジョシュ・ルッソ氏は言う。

海中の森(巨大な褐色の昆布が広がった水域)は、地上の森林と同じくらい海洋にとって重要なものである。 樹木と同じように、それらは二酸化炭素を吸収し、多くの種にとって重要な住処と食糧を提供する。 しかし、気候変動によってカリフォルニア北部の海岸で紫ウニが60倍にもなる爆発的増加を引き起こした時に、ウニは食に貪欲になり、昆布の森は食害にあった。

カリフォルニア大学サンタバーバラ校の海洋生態学教授であるグレッチェン・ホフマン氏は、次のように述べている。「それは美しかった落葉樹の森が砂漠に変わり果てたようなものです。 しかし、たった5年間でですよ。」

昆布の森は南極を除く全ての大陸の涼しい地域の海岸線に沿って存在している。 そして、それらは上昇していく海水の温度とその暖かい水によってもたらされるものの両方から脅威に晒されている。

カリフォルニアの北部では93%も減少してしまった昆布が再び繁栄することを期待し、
ダイバーは入り江の底から紫色のウニを掻き集める作業を行った。
カリフォルニア州の魚類と野生動物の環境科学者であるシンシア・カットン博士と、インターンからなる小さなチームが、ボートの上でダイバーが拾い上げたウニを数えた。

カットン博士は、紫のウニについて不安を覚える人々の中には、市販の赤いウニの漁をしている人達が含まれると言う。
彼らの1人は、30年以上にわたって赤いウニの漁に携わってきたゲイリー・トランペルだ。 紫のウニよりも大きな赤いウニは、人間が食べるので商業として収集が可能であり、寿司の愛好家には"UNI"としてよく知られている。
昆布がなければ、その赤いウニも飢えていた。

トラブルはヒトデから始まった。
腕がが3フィート以上にも及ぶサンフラワーヒトデが通常は紫のウニを食べ、その数を制限していた。
しかし、不思議な事に、2013年からヒトデは死に始めた。 コーン大学の生態学と進化生物学の教授であるドリュー・ハーヴェル氏は、ウイルスが少なくともその原因に関与している可能性があると考えており、より温暖な水がその状況を悪化させたと考えていると言う。

紫ウニのもう一つの捕食者であるカワウソは、19世紀の毛皮業者によって北カリフォルニアで絶滅の危機に瀕していた。 彼らの数は紫ウニの数に対してそれ程増えていない。

「人為的な地球温暖化により、極端から極端になる可能性が高まっています」と、気候変動の研究の著者であり、アメリカ海洋大気庁の物理学者のネイザン マントワ氏は語った。「人類が放出する温室効果ガスのために地球に閉じ込められた熱の90%以上が海洋に吸収され、その温度が上昇しているのです。」しかし、昆布は冷たい水を好む。

また、カリフォルニア州魚類保護区のプログラムマネージャーのソンケ氏によれば、「暖かい海は通常、生産性が高くありません。 多くの酸素を保持する事ができないからです。」という事である。

「紫色のウニはおそらく至る所に居残るでしょう。 彼らは海のゴキブリのようなものです。」とマストラップ博士は言う。 「彼らは他の大多数の動物よりもずっと長く飢餓状態に耐えることができるのです。」

今年はカリフォルニア州の漁業管理者が、初めて地域のアワビ漁業を全シーズン閉鎖しました。アワビという食用の海のエスカルゴは貴重な珍味であり、また、これも昆布に依存している生き物だ。
アワビの提供なしでは訪問客に依存しているレストラン、キャンプ場、ホテルなどのビジネスは苦戦している。

「自然界で起こっていることを自分達で軌道に乗せることができると信じている人々がいる」とマストラップ博士は語った。 "私は希望的ではあるが懐疑的でもある。

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Oct. 22, 2018 The New York Times
http://www.nytimes.com/2018/10/22/climate/kelp-climate-change-california.html