スパイ活動し放題? サンフランシスコは中国の諜報機関にとって「天国」だった

・サンフランシスコとシリコンバレーは、中国がアメリカの企業秘密や技術情報を盗む最優先ターゲットとなっている。

・カリフォルニア州は、中国の国家安全部(MSS)が「政治的諜報活動および工作活動」を専門とした部署を置いている唯一の州だ。

・テック企業は ーー政府とハイレベルな契約を交わす企業でさえ ーー諜報活動に対する準備ができておらず、そのような活動を政府に報告するインセンティブもない。

中国の諜報機関の最重要ターゲットとなっているアメリカのサンフランシスコとシリコンバレーでは、何十億ドル相当もの企業秘密や技術情報を盗もうとする活動が広がるばかりだ。ニュースメディア「ポリティコ(Politico)」が報じた。

中国など外国政府による攻撃的な諜報活動は、これらの国々が他州やアメリカ以外の国で今後どのような活動を展開しようとしているのかを示していると、ポリティコは指摘する。

諜報活動といえば、アメリカではロシアによる大統領選への介入が議論の的になっている。これは確かに重大な脅威だ。だが、西側諸国における中国の諜報活動は、ますます高度になってきているという。

ロシアの他、韓国やイスラエルといったアメリカの同盟国ですら、活発に諜報活動をしているという。

だが、カリフォルニア州に特に重きを置いているのは、中国の諜報機関「国家安全部(MSS)」だ。

カリフォルニアを重視する中国の諜報活動

ポリティコの報道によると、カリフォルニア州は、MSSが「政治的諜報活動および工作活動」を専門とした部署を置いている唯一の州だ。

これはカリフォルニア州には、影響力のある中国からの移民が数多く存在し、中国系アメリカ人が多いこととも関係している。MSSは将来、政治的な影響力を持つ可能性のある地方公務員のリクルートも視野に入れている。

中国はまた、カリフォルニア州に住む自国民にテック企業に関する情報収集を手伝うよう圧力をかけるため、祖国にいる家族を利用したり、留学生の場合は政府の奨学金の支給を止めると脅すこともある。同じことを、中国に家族のいるアメリカ国民に対しても行っているという。

テック企業は ーー政府とハイレベルな契約を交わす企業でさえ ーー諜報活動に対する準備ができておらず、そのような活動を政府に報告するインセンティブもないと、ポリティコは報じている。これには、カリフォルニアの地域社会が非常にリベラルであるという事実も関係していて、企業も、例えば中国人従業員だけを対象に厳重に身元調査をしていると非難されることを恐れている可能性がある。

また、テック企業の従業員が中国やロシアに情報を売っていたと分かっても、株主や投資家に知られるのを嫌がって、企業幹部が事件して取り上げないこともあるという。要するに、テック企業は諜報活動の可能性がある従業員を法的に処分するよりも、マスコミの悪評を避ける方を選ぶと言うことだ。

このため、サンフランシスコはMSSにとって「天国」のようだと、アメリカのある元政府職員はポリティコに語った。

8/11(土) 8:10 Yahoo/business insider
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180811-00010000-binsider-int