2018年7月31日 5時40分
「世界最高齢の独裁者」とも呼ばれた前の大統領の辞任を受けて行われているアフリカ南部・ジンバブエの大統領選挙の開票が日本時間の31日、始まりました。結果は数日以内に発表される予定です。
ジンバブエの大統領選挙は、1980年の独立以来40年近く実権を握り「世界最高齢の独裁者」とも呼ばれていたムガベ前大統領が、去年、軍の事実上のクーデターによって93歳で辞任したのを受けて行われました。

選挙戦は、前の政権で副大統領を務め軍の後押しを受けて大統領に就任した現職のムナンガグワ氏と、最大野党を率いる40歳のチャミサ党首の事実上2人による争いになりました。

投票は日本時間の31日午前2時に締め切られ直ちに開票作業が始まりました。EU=ヨーロッパ連合の選挙監視団の責任者は「一部で混乱があったが、
おおむね順調だった」と述べているほか、内外のメディアはムガベ政権時代の選挙よりも多くの国民が投票したと伝えていて有権者の関心の高さがうかがえます。

開票結果は数日以内に発表される予定で、ジンバブエの国民が崩壊した経済の立て直しや人権状況の改善をめぐってどの候補にかじ取りをゆだねたのか注目されます。


現職のあだ名は「ワニ」

現職のエマーソン・ムナンガグワ大統領は75歳。地元では厳格で計算高い性格だとして支持者からも「クロコダイル」、ワニのあだ名で呼ばれています。

独裁との批判を受けたムガベ政権では、副大統領を務めていましたが、去年11月にムガベ前大統領が軍による事実上のクーデターをきっかけに辞任すると、軍の後押しを受けて大統領に就任しました。
若い頃は、ムガベ氏と共にイギリスからの独立闘争に参加し中国で軍事訓練を受けたことがあり、1980年代には反ムガベ派のおよそ2万人が虐殺された事件への関与がとりざたされています。

一方、選挙戦では「国民の団結」を訴え、崩壊した経済の再建を目指して外国からの投資を積極的に受け入れる方針を示しているほか、
ムガベ政権時代、長年対立していたアメリカとEU=ヨーロッパ連合の選挙監視団を受け入れるなど、ムガベ氏に比べ実利的な人物だと言われています。


野党候補は「アフリカのオバマ」

ネルソン・チャミサ候補は、最大野党のMDC=民主変革運動の党首を務めています。ジンバブエの憲法では、大統領は40才以上と規定されていますがことし2月に40歳になったばかりです。

学生時代から反ムガベの活動に参加し、2007年には治安当局の暴行を受けて大けがをしたこともあります。弁護士の出身でスピーチが得意なことから「アフリカのオバマ」とも呼ばれ、
外国メディアとのインタビューでも、自身をアメリカのオバマ前大統領のほかフランスのマクロン大統領やカナダのトルドー首相のような若い政治指導者になぞらえたこともあります。

選挙戦では「若さと変革」を前面に出して、有権者の多くを占める若者や都市部を中心に急速に支持を伸ばしました。
また、ムガベ政権は、欧米と対立する中で中国と密接な関係を築きましたが、そうした関係を見直し中国以外の国とも関係を改善させるべきだと訴えています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180731/k10011556971000.html