ロシアを訪問中の安倍晋三首相は25日夜(日本時間26日未明)、
同国のプーチン大統領と日ロ企業の経営幹部との会合に出席し、日ロ間の経済協力の拡大に意欲を表明した。
企業間の連携が「両国民の生活に大きな恩恵をもたらす」と意義を強調し、
日ロ平和条約締結に向けた信頼関係づくりにつながると訴えた。

 首相は日ロ政府が2016年5月の首脳会談で合意した「8項目の経済協力プラン」で、
日ロ企業が130を超える合意を結び、半数が動き出していると進捗を紹介した。
ロシアと法的な枠組みづくりや融資制度の拡大などに取り組み、「潜在力を開花させたい」と企業に協力を呼びかけた。

 日本の技術を生かした事業分野として極東での医療や都市づくりを例示。
プーチン政権が掲げるデジタル経済の発展で日ロ企業が連携すれば両国が「トップランナーになれる」と力を込めた。

 プーチン氏は日本の投資や日ロ間の貿易高が中国に比べて少ないと指摘し
「数倍に拡大する可能性がある」と投資環境の整備に意欲を示した。

 会合はサンクトペテルブルクでロシアが主催する国際経済フォーラムで開かれた。
企業からは丸紅の朝田照男会長らが参加し、ロシア企業との共同事業などを紹介した。
ロシア側は国営原子力企業ロスアトムなどのトップが登壇し、日本企業に投資を呼びかけた。

 ロシアでは欧米による経済制裁が続き、外国企業による投資や技術流入の停滞が懸念されている。
4月には米国が日本企業とも取引があるアルミ大手ルサールなどを対象に米国内での取引を禁じる厳しい制裁を発表し、
リスクが改めて浮き彫りになった。
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日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31009120W8A520C1000000/