インドの被差別民「ダリット」への差別や暴力で命を失った人の遺族たちを撮影した写真展がこのほど、
同国西部ムンバイで開かれた。写真家のスドハラク・オルウェ氏は、数百万人のダリットにとって今も続く差別の現実を、
作品に写し取っている。

ヒンズー教の教えに基づく苛烈なカースト制によって、ダリットは社会の最底辺で最も虐げられる立場に置かれている。

数万人のダリットが今年3月、最高裁の判決に抗議してデモを参加した。
自分たちを守るために作られた法律の力を、弱める判決だと声を上げていた。

インドの最高裁の判断は、
不可触民を指す「スケジュールド・カーストとスケジュールド部族」の保護に関する法律が過去に
「乱用」されていたというものだった。しかし、大勢がこれに激しく怒り、連邦政府は最高裁に判断の再考を求めた。

オルウェさんの写真展はそうしたなかで開かれた。
主催者は、最高裁判断を機にダリットを守る法律がこれ以上薄められたりしないよう、
思いを込めて作品を選らんだと話す。全ての作品はインド西部マハラシュトラ州で撮影されたもので、
「被害者たちは闘う意思があったが、彼らを助ける仕組みがなかった」のだと説明した。

ダリットを保護する法律があるにもかかわらず、2016年だけでダリットに対する犯罪が4万件以上報告されている。
かつてはダリットと上位カーストの紛争の多くは土地や賃金、水、住宅、不可触民の扱いに限られていた。
しかし、活動家たちによると、社会的上昇を目指す若いダリットが増えるにつれて、
これを受け入れられない上位カーストの人間による暴力に火がつくようになった。

■野原で遺体で発見
2015年5月、当時24歳だった看護学生のサガル・シェジワルさんは、友人の結婚式に出席するためシルディという町を訪れた。
いとこ2人と一緒に酒屋に入った時、シェジワルさんの携帯電話が鳴った。
着信音メロディーは、ダリットたちが崇拝するインドの政治家B・R・アンベードカル博士を称える歌だった。

警察への被害届によると、店の前で飲んでいた8人の男たちが、着信音に反発し、変えるようシェジワルさんに求めた。
口げんかが暴力に発展し、男たちはシェジワルさんを瓶で殴打し、蹴ったり殴ったりした末、バイクで連れ去ったという。

警察は数時間後、シェジワルさんの遺体を野原で発見した。
検死の結果、シェジワルさんは何度もバイクにひかれたためとみられる多発性骨折を負っていた。

容疑者たちは保釈金を払い釈放された。

■石切場に遺体で
マニク・ウダゲさん(当時25)は2014年、B・R・アンベードカル博士の誕生日を祝う大々的なイベントを計画したために、
鉄の棒で殴られ死亡したとされる。

イベントが予定されていた場所は、西部の都市プネ。市内で特にカースト上層民が多く住む地区だった。
反対する一部の人が請負業者だったウダゲさんに場所の変更を求めたが、ウダゲさんは拒否したとされる。

ウダゲさんの家族によると、同年5月1日未明に男4人が家に押しかけ、ウダゲさんを連れ去ったという。
2日後、ウダゲさんの遺体は石切り場で発見された。

男4人は全員、上位カーストの人間だった。4人とも現在、収監中だ。数度にわたる保釈申請は却下され続けている。
しかし、ウダゲさんのきょうだいのシュラバンさんは、家族は今でも危険にさらされているのではないかと恐れている。
容疑者たちの家族が住む場所の近くを通るたびに緊張するという。

(英語記事 Caste hatred in India - what it looks like)
http://www.bbc.com/news/world-asia-india-43972841

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https://ichef-1.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/D63E/production/_101164845_82eab683-491a-4423-a476-744107c45f12.jpg
https://ichef-1.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/FD4E/production/_101164846_6272974d-175b-47e2-81c2-9277f5efea9b.jpg
https://ichef-1.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/16D6/production/_101164850_b387901b-7cde-478b-b339-676afa2de862.jpg

BBC
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-44029728