1957年の独立後、初の政権交代が起きたマレーシアには、多くの日系企業が進出している。
首相に返り咲いたマハティール氏は、前政権下で目立った中国企業依存からの脱却を目指すとみられ、
高速鉄道の車両受注などで中国と競合する日本勢に追い風になるとの見方も出ている。
 外務省によると、マレーシアに拠点を置く日系企業は約1400社。

安価な労働力を背景に80年代後半から電機メーカーなどが相次ぎ進出し、現地の所得向上に伴いサービス業も後を追った。
 政権交代について、合弁会社を通じデパートやドラッグストアで化粧品を販売する資生堂は「日本の化粧品は評価が高く、
現地の売り上げに影響するとは思わない」(直川紀夫執行役員常務)と分析する。
 新政権は、日本の消費税に当たる物品サービス税の撤廃を掲げており、実現すれば消費を押し上げる可能性がある。
一方、財政が悪化し通貨安が進めば、現地の輸入価格が上昇し、日系サービス業に悪影響を及ぼす恐れもある。

 81〜2003年に首相を務めたマハティール氏は、
日本などに学ぶルックイースト(東方)政策を掲げて経済発展に導いた実績がある。
選挙戦では中国との経済活動を重視した当時の政権を「中国偏重」と批判した。
 入札中のクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画では、住友商事やJR東日本、
日立製作所など日本の企業連合と中国勢の競り合いが予想される。企業連合内には政権交代が入札に有利に働くとの期待もある。
 一方、新政権が支持基盤を強化するため、国内の産業保護を優先する可能性がある。
「政権交代の影響を精査する必要がある」(大手エネルギー幹部)との指摘も出ている。

時事ドットコム
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