■金正恩が米朝首脳会談をこのタイミングで望んだのは、「交渉上自分たちが有利な立場に立てることを知っていたから」だ

北朝鮮は早ければ今年の7月23日までに、米本土を核攻撃する能力を獲得する可能性がある──。
イギリス軍のトップがそう警告していたことが明らかになった。

イギリスのアール・ハウ国防相は1月23日、
北朝鮮が約6〜18カ月以内に米本土を核攻撃する能力を持つ可能性がある、と英議員らに報告。
その分析結果をまとめた報告書が4月5日に公表された。
それによれば、早ければ7月23日までに米本土への核攻撃が可能になるという。
英軍関係者は米ニュースサイトのビジネス・インサイダーに対し、1月に報告した日時に変更はないと語った。

ドナルド・トランプ米大統領は来る5月、北朝鮮の最高指導者、
金正恩朝鮮労働党委員長との初の米朝首脳会談を実施する見通しだが、会談で具体的にどんな成果が得られるかは不透明だ。
トランプは北朝鮮の完全な非核化を目標に掲げるが、多くの専門家はほぼ不可能だと見ている。
北朝鮮は核保有している方が、交渉を有利に進められるからだ。

■北朝鮮が有利

「北朝鮮がアメリカとの直接対話に前向きになった理由の1つは、
今は自分たちの方が強い立場になりつつある、と感じているからだ。金はすでに核兵器の『完成』を宣言している。
たとえ技術的には未完成でも、少なくとも紙の上は、アメリカを核攻撃するのに必要なあらゆる技術を手に入れた、ということだ」と、
米ワシントンにあるシンクタンク「センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト」の防衛研究ディレクター、
ハリー・カジアニスは本誌に語った。

「もしそれが事実なら、金が今になってアメリカに直接対話を呼び掛けてきたのも納得がいく。
金は有利に取引を進められるだろう。もし会談が本当に行われれば、の話だが」

昨年、トランプと金が互いに威嚇し合っていた頃、北朝鮮は核実験や新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を繰り返した。
北朝鮮のミサイルはアメリカ本土に到達可能だ、と専門家は警告している。
ただし北朝鮮は、それらのミサイルに核弾頭を搭載する技術をまだ獲得できていないとされている。

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ニューズウィーク日本版
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