<イタリア中西部で発見された18歳女性のバラバラ死体事件が3月4日投票の総選挙の行方を左右するかもしれない。
地中海を渡ってやって来る難民に対する嫌悪と排外主義がますます強まっているからだ>

1月29日昼過ぎ、ローマ出身のパメラ・マストロピエトロさん(18)は
イタリア中西部マチェラータにあるリハブ(薬物依存症回復施設)からスーツケース1つに身の回りのものを詰め込んで
抜け出した。お金や携帯電話、身分証明書は施設に預けたままだ。

昨年10月から施設で暮らしていたため、ヘロインが欲しくて仕方なかった。
ロングヘアのパメラさんはスリムでキュートな女性。通りがかった中年男の車に乗り込み、
ガレージに敷かれた毛布の上で若い体を売った。ヘロインを買う、たった50ユーロのために。

翌朝、中年男はパメラさんを車に乗せ、最寄りの駅まで送った。
てっきりローマに帰ったと思っていた彼女は31日、道路脇に放置された2つのスーツケースから無残なバラバラ死体となって発見される。
首や臓器はまだ見つかっていない。

2日後、難民申請が認められず、警察に出頭を求められていたナイジェリア人男性が逮捕され、
自宅から血の着いた衣服や肉切り包丁、キッチンナイフが発見された。
男性は「女が薬の過剰摂取で死んだので驚いて逃げ出した」と犯行を否認した。

〈難民への逆恨みが爆発〉

捜査当局はヘロイン密売に関係していたとみられるもう1人の行方を追っている。
ナイジェリア男性は殺人で立件できず、釈放される可能性もある。衝撃的な事件は思わぬ方向に急展開していく。

2月3日、マチェラータでナイジェリアやガーナ、マリ出身の男性5人、
女性1人がイタリア国旗をまとったスキンヘッドの男(28)に次々と銃撃された。
幸い命に別状はなかったが、1人は重体。男は中道左派の与党・民主党支部にも発砲した。

現行犯逮捕される前、スキンヘッドの男は「イタリア万歳」を叫び、ファシスト式敬礼をした。
「かわいそうなパメラの弔い合戦だ」と供述。自宅からはアドルフ・ヒトラーの『わが闘争』が見つかった。
昨年の地方選で右派・北部同盟から立候補し、落選していた。

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画像:パメラ・マストロピエトロさん
https://pbs.twimg.com/media/DVWdFviWkAASlEK.jpg

ニューズウィーク日本版
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