強気なドナルド・トランプ米大統領は30日夜、連邦議会を前にした初の一般教書演説で、
「新しいアメリカの時」だと宣言した。

テレビのゴールデンタイムに生中継された1時間20分に及ぶ演説で、
トランプ氏は民主党に対して協力するため「手を開いて差し伸べている」とも述べた。

トランプ氏はさらに、テロ容疑者を収容してきたグアンタナモ米軍基地の収容施設は継続すると発表し、
バラク・オバマ前大統領による閉鎖命令を覆す方針を示した。

米経済は活況を呈しているが、トランプ氏の支持率は低迷を続けている。

しかしトランプ氏は、1年前の「米国の殺りく」などと終末論的で暗い論調だった就任演説とは対照的に、
就任から1年を経て自分の政権は「安全で強力で誇り高い米国」を築いていると宣言した。

上下両院の議員を前に大統領は、「アメリカン・ドリームを生き始めるのに、今ほど良い時はない」と強調した。

トランプ氏は、国民に「ひとつのチーム、ひとつの国民、ひとつのアメリカの家族」として一致団結するよう呼びかけた。

〈外交政策については〉

トランプ氏は北朝鮮について「極悪」と非難し、「核ミサイルを無軌道に追及しており、
近いうちに我々の国土を脅かすこともあり得る」と警告。
「そうならないよう、最大限の圧力をかける作戦を展開している」と述べた。

トランプ氏は、会場に招かれていた松葉杖の脱北者、チ・ソンホ氏を紹介し、その苦労をねぎらった。

大統領はさらに、過激派勢力「イスラム国」(IS)がかつて支配していたシリアとイラク国内の大部分は、
すでに奪還したと述べ、「ISISを打倒するまで戦いを続ける」と約束した。

外国での軍事展開については、過去に前任の大統領2人が一般教書演説でアフガニスタンでの米軍勝利を予測し宣言したが、
トランプ氏はいまや米国にとって最長の戦争となったアフガニスタンでの軍事作戦についてはほとんど触れなかった。

アフガニスタンでの治安状況悪化を間接的に認めるかのように、
大統領は「米軍はもはや人工的な日程表に足を引っ張られたりはしない」と述べた。

大統領選への介入疑惑が問題となっているロシアについては、
中国と共に米国のライバルだと言及するにとどまった。

〈「手を開いて」〉

トランプ政権の1年目は、ロシア疑惑や司法介入疑惑のほか、移民政策や医療保険、
税制改革をはじめとする政権の様々な政策について与野党が激しく対立してきた。
政権に抗議する市民の運動も活発だった。

幼少期に不法移民として米国に連れてこられた若者への保護政策(DACA)を撤廃するという政権の決定に、
多くの民主党関係者は強く反発している。

就任1年目の議会演説で大統領はこれについて、「苦しんでいるコミュニティー、
特に移民コミュニティーも、米国人労働者と米国の家庭の利益を最優先する移民政策の恩恵を受ける」、
「なので私は今晩、民主党と共和党の両方の議員に、手を開いて差し伸べる。
あらゆる出身、肌の色、信条の市民を守るために」と超党派の協力を呼びかけた。

その一方で大統領は、包括的な移民政策について与野党が合意するには、
民主党が国境の壁建設などで譲歩する必要があると述べた。

合法移民が家族を米国に呼び寄せる際の人数を制限したいと大統領が述べると、
民主党議員の中からはブーイングの声も上がった。

大統領は、米国の老朽化した道路などのインフラ整備という得意の計画を推進すると強調したが、
具体的な内容には触れなかった。

トランプ氏はさらに、自分の就任以来、新たに240万人の雇用が創出されたと述べた。

米国経済は約10年前の大不況から回復を続けており、トランプ氏の就任以来、
ダウ平均株価は約33%上昇し、失業率は17年ぶりの低レベルに下がっている。
株価上昇や失業率減少をトランプ氏は政権の成果として強調するが、
政権の手柄だという評価が不十分だと大統領はしばしば不満をあらわにしている。

トランプ氏の昨年の平均支持率は38%。調査会社ギャラップ社が調査を開始して以来、
就任1年目の大統領支持率としては過去最低という。

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https://ichef-1.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/15EBF/production/_99819798_de27.jpg

BBCニュース
http://www.bbc.com/japanese/42883305