ハイチ人移民らの一時滞在施設として開放されたカナダ・モントリオールの五輪スタジアム(2017年8月2日撮影)
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カナダで難民認定を求めて流入する移民らが急増し、当局が緊急の受け入れ施設の確保に追われている。
2日には東部ケベック(Quebec)州モントリオール(Montreal)にある五輪スタジアムも開放した。
大半はハイチ人で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権によるビザ(査証)発給厳格化の余波とみられる。

「これは大きな危機だ。制度上、これほど大量の移民流入への対応は想定されていない」。カナダの税関・移民労働組合(Customs and Immigration Union)のジャンピエール・フォルタン(Jean-Pierre Fortin)委員長は最近の流入数の増加に警鐘を鳴らす。

 フォルタン氏によると、ケベック州ラコール(Lacolle)の国境検問所近くでは1日、500人近くの難民認定希望者が国境を越えた。およそ9割がハイチ人とみられるという。

 カナダでは過去数か月、難民認定を求めて入国する移民らが増加。モントリオールのデニス・コデール(Denis Coderre)市長によると、
7月に米国との陸上国境をまたいでカナダ南部に入った移民は2500人に上る。

 当局は移民らを大学の寮やホテルなどに受け入れているが、追いついていない。
2日には新たに1976年のモントリオール夏季五輪のメイン会場となったオリンピックスタジアムを開放し、
通路に数十台の簡易ベッドを設置。子ども数人を含む第1陣約40人がバスで到着した。

 コデール市長は「モントリオール市はハイチ難民を歓迎する。私たちの全面的な協力を頼りにしてもらっていい」と表明。
現在の流入については「ドナルド・トランプ氏の移民政策の結果」との見方を示し、モントリオールは「聖域都市」だとも述べている。

 トランプ大統領が就任して以来、米国から国境を越えてカナダに入る難民認定希望者が相次いでカナダに入国しているが、その数は過去1週間に急増した。
ハイチ人の難民認定申請者の急増は、ハイチ人6万人近くが今年1月に取得した米国の短期滞在ビザの期限が切れることに関連しているとみられる。

 米国土安全保障省は、2010年に大地震に見舞われたハイチ人らにビザ失効後も米国内で就労できる資格を与えているが、
NGOなどが1年半の延長を求めていたのに対し、半年の延長しか認めなかった。(c)AFP/Julien BESSET

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