五十嵐大介2017年7月25日22時01分
IMFの仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に中国の人民元を正式に組み込むにあたりコメントするラガルド専務理事=昨年9月、五十嵐大介撮影


 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は24日、ワシントンでの対談で、「10年後には、ワシントンではなく北京の本部でこの議論をしているかもしれない」と話し、戦後の国際金融体制の主導役を果たした国際機関の本部が中国に移る可能性を示唆した。

 ラガルド氏は「IMFは今より相当多くの資金が必要になる。もし今の経済成長が続けば、一部の大きな新興国の発言力が増えることになる」と指摘。IMFの本部は世界最大の経済を持つ国に置くという条項を引き合いに出し、本部移転の可能性に触れた。
 IMFは昨年10月、IMFの仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に中国の人民元を採用した。ラガルド氏は、世界2位の経済大国・中国のIMFへの関与を高めるための働きかけを進めてきた。
 IMFの議決権は現在、首位が米国で、日本、中国の順となっている。トランプ政権は多国間の国際協調に否定的な見方を示しており、IMFで唯一の拒否権を持つ米国の指導力低下を懸念する声が出ている。(五十嵐大介)
http://www.asahi.com/amp/articles/ASK7T4S7CK7TUHBI00P.html